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金属を使わない「メタルフリー」治療とは?

2024.10.21

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ご愛読いただきありがとうございます。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。歯やお口に関する話題をお届けしている当コラムですが、今回は、かつての歯の治療(おもに虫歯治療)で多用されていた金属が引き起こす問題と、それを解決した「メタルフリー」素材についてまとめてみました。
昔、治療を受けた歯や、これから治療を受ける歯について、改めて考える機会になれば幸いです。

メタルフリー治療とは?

「メタルフリー治療」、その名の通り、金属を使わない歯科治療を指します。かつては当たり前のように使われていた銀歯を始め、一切の金属を使わずに治療することから金属アレルギーのある人でも安心して治療ができます。また、治療した箇所も目立たず、使用する素材によっては強度が高く長持ちするというメリットもあります。

銀歯に含まれるパラジウムが金属アレルギーを引き起こす

ひと昔前まで、虫歯の治療といえば「銀歯」でした。もちろん、高価な銀を使っていたわけではなく、歯を削った跡に詰める素材として使われていた「パラジウム合金」の見た目からそう呼ばれていたのです。しかし、このパラジウムが唾液によって溶かされ、少しずつ体内に取り込まれることによって金属アレルギーを発症したり、治療した歯や歯茎などが変色したりするなど、さまざまな問題を引き起こすことが判明。海外では、多くの国で使われない素材となっています。

しかし、日本では、現在もパラジウム合金が保険適用となる虫歯治療(詰め物・被せ物)の対象となっているため、多くの歯科医院で使われている現状があります。パラジウム合金には、治療費を抑えられる以外にも、定着しやすく強度も高いというメリットがありますので、一概に「NO」とはいえませんが、次のようなリスクがあることは覚えておいてください。

<パラジウムの金属アレルギーが原因で引き起こされる症状>
・アトピー性皮膚炎
・蕁麻疹
・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
・尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
・口内炎や舌炎
・歯や歯茎の変色 など

メタルフリー素材で金属アレルギーを回避

金属アレルギーの原因が治療に使用したパラジウム合金だと判明したら、せっかく治した詰め物や被せ物を除去するしかありません。もちろん、歯に穴が開いたまま、欠けたままでは虫歯などが再発する可能性が高くなりますし、痛みが再発したり、食事などの日常生活にも支障をきたしたりしますから、金属を使わない素材で再治療する必要があります。

この金属を使わない治療(あるいは素材)がメタルフリーと呼ばれるもので、使われるのはセラミックやレジンが中心です。自然の歯に近い色にできることから、審美面では圧倒的なアドバンテージがあります。また、密着性も高いので治療した場所から細菌が入り込むリスクもほとんどありません。

表から見えない場所もメタルフリーに

誰が見ても明らかな詰め物や被せ物だけでなく、歯列矯正に使う素材や見えない部分もメタルフリー化が進んでいます。例えば、歯列矯正も金属製のブラケットだけでなく、マウスピースで行えるようになっています(治療する歯の状態によって選択できない場合もあります)。また、インプラントの土台(コア)も金属ではなく、グラスファイバー製の物を選べるようになりました。部分入れ歯も同様で、いわゆるバネの部分を樹脂製にした物を使う歯科医院が増えています。

  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。