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歯列矯正は自由診療なので健康保険は使えない?例外的な治療については適用されるケースも!

2017.11.17

歯列矯正

子供の歯並びを矯正するための歯列矯正は健康保険が適用されますが、大人が審美目的で行う歯列矯正は保険適用外です。歯列矯正は高額ですから、保険適用外となるとなかなか治療に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、一部の条件に合致する治療については、健康保険が適用される場合があります。どのような症状で、どんな治療をする場合に健康保険が適用となるのか、また、具体的な金額はいくらくらいなのか見ていきましょう。

「外科手術を伴う治療」「先天的な問題の解決を図る治療」は保険適用

大人の矯正治療でも、「外科手術を伴う治療」と「先天的な問題の解決を図る治療」に該当する場合は保険適用となります。

外科手術を伴う治療

出っ歯や受け口などの原因が、歯並びだけでなく顎がずれる「顎変形症」にある場合、歯列矯正だけでは理想的な噛み合わせにならないことがあります。こうした場合、骨格そのものを治す外科的治療と歯列矯正を同時に行わなくてはなりません。

具体的な条件は以下のとおりです。

・「上顎前突症」「上顎後退症」「下顎前突症」「下顎後退症」「開咬(オープンバイト)」「顔面非対称症例」など、顎の骨格そのものに問題がある噛み合わせの異常で、改善のために外科的手術を要する場合
・厚生労働省が指定する「唇顎口蓋裂」や「鎖骨頭蓋異骨症」といった病気による咬合異常があり、改善のために外科的手術を行う必要がある場合

なお、手術は歯医者であればどこで行っても良いというものではなく、国の定める「指定自立支援医療機関」で行った場合のみ保険適用となりますので注意が必要です。
保険が適用されない全額自己負担の矯正治療は、初診から矯正治療後の通院まで含めた治療費の総額が80~120万円ほどになりますが、保険が適用されれば矯正費用は25万円ほど、外科手術費用が25~40万円ほどになるケースが多いようです。

<治療の流れ>
・術前矯正:半年~1年半
・外科手術
・入院:1週間~10日ほど
・術後矯正:約1年
・矯正の戻りを防ぐ保定
・希望により、手術時に埋めこんだプレートの除去

先天的な問題の解決を図る治療

口蓋裂や口唇裂といった「先天異常」に伴う歯並びの異常も健康保険が適用されます。先天異常として認められているのは、50の疾患と顎変形症です(対象となる疾患については公益社団法人日本矯正歯科学会のリリースをご参照ください)。なお、これらの疾患については、外科手術を伴わない矯正治療でも保険の適用となります。

顎変形症は、顎の骨の形や大きさによって顎や顔の形に変形が見られる症状です。顎変形症については、顎の骨を切る手術を行うことが保険適用の前提です。国の認定基準を満たした顎口腔機能診断施設で治療を行いましょう。

保険適用なら治療費の負担が軽くなる

基本的には保険適用外である歯列矯正ですが、症状や治療法によっては保険適用となることがおわかりいただけたかと思います。自分の状態が保険適用であることがわかれば、治療費が高額になりがちな歯列矯正のハードルは下がり、歯科医院に足を運ぶきっかけになるでしょう。
なお、虫歯の治療でも、一部の治療方法や使用薬剤等によっては保険適用外となります。病院側も治療開始前に「保険適用か、適用外か」を伝えてくれるはずですが、事前に知っておくと心構えができますので安心です。


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