こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。
さて今回は、当院にお見えになる多くの患者様にとっても関心が高い、「セラミック」の歯についてご相談をいただきましたので、それにお答えさせていただきます。
セラミックとは陶磁器のことです。抜けるような清潔感のある白さが特徴で、デリケートな着色ができることから、患者様の自然な歯の色とそっくりに仕上げることができます。
しかし「陶磁器=金属に比べて割れやすい・欠けやすい」という連想から、「セラミックの歯は割れやすい(欠けやすい)のでは?」と心配される方もいらっしゃいます。また、事実、昔のセラミックや質の悪いセラミックは、強い力を加えると割れたり欠けたりしてしまうこともあったようです。
現在のセラミックの歯は、技術の進歩によって昔とは比べ物にならないほど丈夫になっています。
今回のご相談者の方も、ご安心いただけましたらと思います。
目次
Q:セラミッククラウンが割れてしまいました!
何年前か忘れましたが、結構昔のことになります。奥歯を虫歯で失ってしまいましたので、歯医者さんでセラミックのクラウンをかぶせてもらいました。
私は「奥歯だし、目立たないので銀歯でいいかな?」と言ったのですが、先生から「奥歯でも、笑ったときに銀歯が見えるよりは白いほうがいいでしょう?」と強くすすめられました。
確かに、友人が笑ったときに口の奥のほうに黒い銀歯が見えることがあって、あまり美しいとは思いませんでしたから「保険が利かないから高いけど、セラミックのほうがキレイかな?」と思ったのです。
それから、私はあまり化学に詳しくないのですが、セラミックというのは非常に硬い素材だというイメージがあったので「まあ、長持ちしてくれれば元は取れるかな?」という気持ちもあったのです。
ところが、昨日そのセラミッククラウンがまっぷたつに割れてしまいました! おせんべいに入っていた豆を噛んだのがいけなかったようです。
長年役に立ってくれた歯だったので「損をした」という気持ちはないのですが、これから歯を作り直すにあたって「今度もセラミック? やっぱり銀歯にする?」と迷っています。セラミックは銀歯に比べて割れやすいのでしょうか?
E香
A:最新技術によるクラウンなら自信を持っておすすめできます
E香様、奥歯のセラミッククラウンが割れてしまわれたとのこと。心からお見舞い申し上げます。
E香様のおっしゃるとおり、セラミックは非常に硬い素材です。しかし、「硬い」のと「もろい」のは背中合わせで、例えばガラスはプラスチック板よりずっと硬いのですが、強い衝撃を加えると砕けてしまいます。プラスチックは弾力があるため、少々の衝撃は跳ね返しますが、ガラスにはあまり弾力がありません。セラミックもそれに似た性格を持っています。
とはいえ、医療技術はものすごいスピードで進化を続けています。セラミックも毎年のように素材が改良されており、私たち歯科医師が覚えるのがたいへんなくらい、新しいセラミックが次々と提供されています。このため、わずか5年前のセラミックと最新のセラミックを比べると、段違いに強度が向上しています。
一口に「セラミック」といっても…
さて、E香様。一口に「セラミック」といっても、実はさまざまなタイプがあることをご存じでしょうか?
当院が扱っているセラミッククラウンには、下記の4種類がございます。
オールセラミック
全体がセラミックでできており、最も美しいセラミックです。汚れにくく変色しにくいという特長があります。(歯ぎしりや食いしばりが強い方は、咬む相手が天然の歯の場合、ダメージを与える場合があります。)
ハイブリッド
セラミックとレジン(樹脂素材)を混ぜた素材です。オールセラミックより美しさは劣りますが、弾力性があるため割れにくく、ほかの歯にダメージを与えないというメリットがあります。
フルジルコニア
ジルコニアは、非常に硬く透明度の高い鉱石です。そのジルコニアを使ったクラウンは、オールセラミックよりもさらに硬く衝撃にも強いため、奥歯の治療によく使われます。
(歯ぎしりや食いしばりが強い方は、咬む相手が天然の歯の場合、ダメージを与える場合があります。)
メタルボンド
金属のフレームにセラミックを焼成したもので、芯までセラミックであるオールセラミックに比べると、透明感や自然さなどの審美性では劣ります。金属製ですから非常に耐久性が強いのですが、金属アレルギーの方にはおすすめできません。
そして、セラミッククラウンが割れる原因は、素材の古さや品質の悪さといった条件のほかに、歯科医師や歯科技工士の知識・技術力によるところも大きいのです。
例えば、上記のようなセラミック素材の見極め、患者様の歯の状態と素材との適性を判断する診察力、そして素材の強さと美しさを引き出す技術力。そういうクリニックとしての総合的な力量がなければ、いくら高価な素材を使っても、丈夫で長持ちする美しいクラウンはご提供できません。
またメンテナンスとして、噛み合わせの定期的チェックも必要です。
咬み癖などから、人の噛み合わせは大なり小なり年々変わっていきます。この変化を見極め、調整が必要な場合もあるのです。
私たちプレジールは、審美歯科専門クリニックとして、歯科医師・スタッフが一丸となって患者様にお喜びいただける医療と美容をご提供しています。当院にお越しいただければ、きっとご満足いただけると自負しております。
歯科材料は日々研究がなされ進歩しています!
E香様、クラウンが割れてしまわれたのはとんだ災難でした。さぞ、ご不自由なさっておられるとお察しいたします。長年使われたとはいえ、セラミックという素材に不安をお感じになったのは当然のことと存じます。
しかし、セラミックという素材は近年急激に進歩しています。また、一口に「セラミック」といっても、さまざまな素材や技術があり、E香様のお口の状態を歯科医師が詳しく診察した上で適切な施術を選べば、それほど割れやすさを心配する必要はありません。
E香様の住まいのお近くにも、良心的で高い技術を持ったデンタルクリニックはあるはずです。そうしたクリニックをお選びになり、歯科医師としっかり話し合い、納得の上、治療を始めてください。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。