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あなたの歯、変色していませんか?抗生物質の副作用「テトラサイクリン歯」の原因と、5つの治療法まとめ

2015.10.25

テトラサイクリン

審美歯科について

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。

開業以来、多くの患者様にご利用いただいている当院は、症例数も3000件以上。
これからもますます「患者様のために」との想いを込めた診察はもちろん、ブログの更新も地道にがんばっていきます。
お口元の素朴な悩みから審美歯科の最新情報まで幅広くご紹介していきますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

さて前回に引き続き「ホンネで薦める審美歯科ココだけの話」としてお届けする今回は、「テトラサイクリン歯」についてご紹介します。
歯に詳しい方でないと、「テトラサイクリン歯」という言葉は、たぶん聞いたことがないと思われますが、いったいどういう状態の歯なのでしょう。
原因は? そしてどんな治療法があるのか? など、テトラサイクリン歯に関するさまざまな情報をお届けしたいと思います。

そもそも、テトラサイクリン歯とは?

「テトラサイクリン歯」というのは、テトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質を、ある特定期間内に服用した際の副作用により変色した歯のことをいいます。
詳しくいうと、永久歯の形成期である出生直後から8歳頃までにテトラサイクリン系の抗生物質を多量に投与された場合、歯の着色、歯のエナメル質の形成不全、胎児や小児に一過性の骨発育不全などを起こすことがあるとされています。
このため、妊婦や授乳中の母親、および8歳頃までの小児に対してはテトラサイクリン系の抗生物質を避けるべきとされています。

テトラサイクリン系の抗生物質は、かつてはマイコプラズマ肺炎や百日咳の特効薬として用いられていましたが、耐性菌(テトラサイクリン系抗生物質が効かない細菌)が出来やすいことが判明し、また、歯に変色を生じることが認められたため、現在ではほとんど使われなくなっています。
このため、テトラサイクリン系抗生物質による歯の変色は、使用頻度の高かった昭和40年代に生まれた世代にもっとも多く見られます。

しかし現在でも、このような副作用が生じることよりも、治療に有効であると判断された場合にはテトラサイクリン系の抗生物質が処方される場合があります。
少数ではあるものの、テトラサイクリンによる変色歯の患者様が今なおいらっしゃるのは、こうした理由によるのです。

テトラサイクリン系の抗生物質は、鉄や亜鉛、カルシウムなどの金属類と強く結合する性質がありますが、形成中の歯に含まれるカルシウムと結合すると歯に沈着します。
歯に沈着したテトラサイクリンは紫外線に当たることにより酸化して色が濃くなります。
このような原因で変色が起こっても歯自体の健康には関係ありませんが、通常の歯とは異なる色合いになっていきます。
よく見られる色のタイプとしては、グレー系統、イエロー系統からブラウン系統に分かれます。また左右対称に縞(しま)模様が見られる事が多いです。

「テトラサイクリン歯の変色を改善する」ために用いられる5つの治療法

テトラサイクリンによる歯の変色、いわゆる「テトラサイクリン歯」を改善して、美しく白い歯になりたいという患者様に対し、審美歯科が行う代表的な治療技術には以下の5つが挙げられます。

(1)ホワイトニングでのテトラサイクリン歯治療法

ホワイトニングは、歯の表面に薬剤を塗布して歯を白くさせる方法です。
天然の歯で、神経が死んでいない、生きている歯であれば、さまざまな変色に対応できるというメリットがあります。テトラサイクリン歯については必ず個人差はありますが、変色の程度が比較的弱い場合にはホワイトニングで標準的な色へ近づけることも可能です。ただし、変色が強い場合はあまり効果が期待できません。
また白くなっても、短期間で後戻りしやすく、継続的なメンテナンスが必要です。

(2)マニキュア(歯面コート)でのテトラサイクリン歯治療法

爪に塗るマニキュアのように、歯の表面に白い樹脂を塗る方法です。ホワイトニングでは対応できない、神経のない歯や人工の歯にも用いることができます。自宅などで通院せずに自分で行えるタイプもあり、手軽で即効性の高い方法といえるでしょう。
ただしマニキュアの種類にもよりますが、比較的接着力が弱いことから、まだらに剥がれ落ちやすく、施術後のメンテナンスを短期間で行わなければならないケースも多く見られます。

(3)ラミネートベニアでのテトラサイクリン歯治療法

歯の表面のエナメル質を表面部の一層だけうすく削り、削った部分に付け爪のような薄いセラミック製のシェルを貼り付ける方法です。
ホワイトニングでは対応できないような強度の変色にも効果があり、貼り付けるシェルは歯を削った分と同じくらいの厚みのため違和感もほぼありません。
このほか、仕上がりまでの時間が短くて済むなどメリットはありますが、健康な歯を削らなくてはなりません。当然ですが、削った歯はもとに戻すことができませんので注意が必要です。
また歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある方には、シェルが破損する可能性があるため、お勧めできない方法といえます。

(4)クラウンでのテトラサイクリン歯治療法

歯の周囲を全体的に削り、その上にセラミックなどで作った人工の歯をかぶせる方法です。
セラミックの場合、自然の歯とほぼ見分けがつきませんし、かぶせた歯はもとの歯と同じ位置ですから違和感もほとんどありません。
保険適用の銀歯や硬質レジン冠は目立つことから、前歯を治療する場合にはセラミックのクラウンを選択する人が多いようです。
ただしこの場合も、ラミネートベニアと同じかそれ以上に健康な歯を削る必要があります。またクラウンでは歯並びの凹凸を、歯の向き(軸)を変えて修正することも可能なのですが、この場合は歯の神経をとる必要があります。
神経をとった歯は、歯の栄養が絶たれるため、生きている歯の硬さに比べ、もろく、歯の寿命も短くなってしまいます。

(5)ティーシーズでのテトラサイクリン歯治療法

ティーシーズは「歯の表面に人工歯を貼り付ける」という方法です。
「貼り付ける」という点ではラミネートベニアと似ているように思えますが、自分の歯を削らずに歯の表面に正確にフィットするよう作った人工歯を貼り付ける点が異なり、それがティーシーズの大きな特徴となります。
ティーシーズには、テトラサイクリン歯を白くする効果に加え、歯を削らずに治療が受けられます。

【まとめ】歯の変色への対応は、原因に応じた適切な治療法の選択から

テトラサイクリン歯の変色に対する5つの治療法を紹介してきましたが、お読みいただいてわかるとおり、それぞれにメリット、デメリットがあります。
とくにテトラサイクリン系の抗生物質が原因となる歯の変色は、他の変色に比べて度合いが強いケースが多く、ホワイトニングやマニキュアなど通常の変色に対する治療方法では対応できないことも少なくありません。

こうした基本的な情報や歯に関する総合的な知識を押さえ、予算や期間なども加味したうえで治療を選ぶことが、健康で美しい歯を残すために重要なことといえます。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。