ベストな歯の磨き方。実は一人ひとり違います

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、川邉(かわべ)です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をお読みいただき、ありがとうございます。これからも皆様の歯・お口元の健康や美容のお役に立てるような情報をお届けしていきたいと思います。

回は、「歯磨き」についてです。
歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士による「ブラッシング指導(歯磨き指導)」も重要な業務のひとつとなっています。
実は、歯磨きというのは「正しい磨き方」がひとつだけあるというものではなく、患者様一人ひとりの歯の生え方・状態、そして歯磨きの目的によって千差万別なのです。
では、「自分にふさわしい歯の磨き方」とはどのようなものなのかについてお話ししていきましょう。

歯磨きの基本的な考え方

自分にふさわしい歯の磨き方について知るまえに、基本的な歯磨きの方法と種類についてお話しします。

まず、歯磨きの目的を「食渣」(しょくさ)、いわゆる「食事などで口の中に残ったり歯にこびりついたりした食べカス」をきれいに取り除くことと考えていらっしゃる方も多いと思います。
確かに、食渣を取り除くことも虫歯予防には重要です。なぜなら、虫歯菌は食渣を分解して酸を生成し、その酸によって歯が溶けることで虫歯が発生するからです。

しかし、それだけでは十分ではありません。歯磨きで重要なのは、食渣を分解する細菌や、歯周病の原因となる細菌をできるだけ除去することです。

これらの細菌は、おもに歯垢(プラーク)の中で繁殖します。「歯垢=食渣」と思ったら大間違いです。歯垢は、確かに元は食渣ですが、細菌が食渣の中で繁殖するうちに、まったく別の物に変質してしまっています。
歯垢の正体は、実は細菌の集合体です。わずか1mgの歯垢の中に1~10億個もの細菌がコミュニティを作っています。
ここで「コミュニティ」という言葉を使ったのは、細菌がただ密集しているだけでなく、いろいろな種類の細菌が情報を交換したり栄養を分け合ったりと、細菌同士が協力して住みやすい環境を作っているからです。

こういう状態を「バイオフィルム(菌膜)」といいますが、歯垢の場合、バイオフィルムは細菌の代謝物として作られた「不溶性グルカン」という粘着性の高いネバネバに守られています。このため、歯垢の中にいる細菌は、免疫細胞や抗生物質などの薬でもなかなか退治できません。
このため、歯磨きのブラッシングで「物理的にかき取ってしまう」のが、最も有効な除去手段となっています。

つまり、歯磨きで最も大切なのは、食渣を除去することではなく、歯垢を除去することなのです。

歯ブラシの選び方・使い方

歯ブラシは、ヘッドが小さめの物を選ぶと、口の中で邪魔にならず隅々まで磨きやすいでしょう。毛の硬さは「ふつう」を試してみて、しっかり時間をかけて磨いたときに歯茎が痛い・傷付くなどの問題があれば柔らかい物に交換してください。ただし、「しっかり」といっても力を入れてゴシゴシこすってはいけません。歯に押し付けるのではなく、歯の凹み、歯と歯のあいだ、歯と歯茎のあいだなどを中心に、毛先だけを当てて歯垢をかき落とすことを意識してください。

歯ブラシはギュッと握るのではなく、鉛筆のように軽く持ってください。この持ち方のほうが毛先を細かくコントロールできます。また、歯ブラシのグリップは「鉛筆持ち」をしたときに持ちやすく、コントロールしやすい太さ・形状・重さの物を選んでください。

なお、プレジールのブラッシング指導では、患者様の歯の状態に合わせた適切な歯ブラシ選びもアドバイスしています。

いろいろなブラッシング法

1. スクラッビング法

歯の表面やかみ合わせ部分の「咬合面」などを磨くのに適したブラッシング法です。歯ブラシの毛先を、歯の生えている方向に対して直角に当てます。つまり、歯に対して水平にブラシを当てることになります。このとき、毛先を歯に押し付けないでください。
歯ブラシを当てる場所は、歯と歯茎の境目を中心とします。そのまま5mm幅くらいのストロークで歯ブラシを左右に細かく往復させ、歯を一本一本磨いていきます。
次に、咬合面に対して90度に歯ブラシを当てます。下の歯を磨く場合は毛先が真下を向き、上の歯を磨くときは毛先が天井を向いていることになります。そして、同じように小刻みに歯ブラシを動かしてください。

2. バス法

歯と歯茎のあいだを磨き、歯周ポケットの歯垢をかき出すのに適したブラッシング法です。
バス法は、歯ブラシの毛先を歯に対して45°の角度で当てます。例えば、下の前歯を磨くときは毛先が自分の喉のほうを向き、上の前歯を磨くときは毛先が目のほうを向いているイメージです。毛先が歯茎の歯周ポケットに入り込むように、2mm幅くらいのストロークで歯ブラシを左右に震わせるイメージでやさしく磨いていきます。

3. フォーンズ法

歯ブラシの毛先を、スクラッビング法と同様歯に直角に当て、小さな円を描くように磨いていく方法です。これは本来、お子様や歯をうまく磨けない人のための磨き方ですが、歯の表面の汚れを落とし、ステインの付着を予防して歯を白く保つのに有効です。

4. ローリング法

最初に歯ブラシの毛先の脇腹を歯茎に当て、上の歯は上から下へ、下の歯は下から上へと歯ブラシを回転させるように磨いていきます。この際、歯ブラシに小刻みな振動も加えてください。慣れるまでは難しいかもしれませんが、歯垢を落としやすく、歯茎に対するマッサージ効果も期待できます。

このほかにもいろいろなブラッシング法がありますが、プレジールのブラッシング指導では、これらのブラッシング法を患者様の歯並びや噛み合わせ、歯や歯茎の状態に応じて組み合わせ、歯科医師が実際に磨きながら説明していきます。

歯の状態や目的に合わせた磨き方を

上のご説明でおわかりいただけたかと思いますが、一口に歯磨きといっても、

  • 歯並びが悪く、特に磨きにくい、歯垢が溜まりやすいところを重点的に磨く
  • 前歯の表面を中心に、ステインを予防して歯を白く保ち、黄ばみを防ぐ
  • 歯周ポケットが深くなっている方は、歯周ポケットに歯垢が溜まらないようにする
  • 歯茎の健康が優れない方は、歯茎マッサージも兼ねる

など、目的に応じて磨き方が異なります。このため、患者様一人ひとりに合わせた磨き方を歯科医師が指導しなくてはならないのです。

また、ブラッシング指導では、上記のような磨き方に加えて、「何かを食べたらすぐに歯磨き」など、生活習慣としての歯磨き全般に対してアドバイスを行います。加えて、歯間ブラシやデンタルフロスなどの効果的な使い方についても指導させていただいています。

こうした指導を受けず、我流の歯磨きを続けていくと、どうしても自分なりのクセが出て、いつも磨き残してしまう部分や、歯垢が溜まりやすい場所ができてしまいます。

あなたにベストな歯磨き法をマスターしてください!

このコラムでは、

  • 歯を磨く目的
  • 歯磨きで大切なこと
  • 歯ブラシの選び方・使い方
  • いろいろなブラッシング法の種類

などについてお話ししてきました。また、どうして患者様一人ひとりに対して個別のブラッシング指導が必要なのかという理由もご理解いただけたのではないでしょうか。

プレジールのブラッシング指導は、ティーシーズやセラミッククラウン、ホワイトニングなどの施術を受けていただいた患者様のほか、「ステインケア」「デンタルヘルスケア」「ビューティーケア」といった歯のクリーニングの際にも行っています。

歯磨きはオーラルケアの第一歩です。すなわち、歯やお口まわりの美しさを守るための第一歩でもあります。ぜひ、あなたにベストな歯磨きの方法を当院でマスターしてください。