皆様、こんにちは。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読くださり、ありがとうございます。このコラムでは、毎回ひとつのテーマについて、皆様のお口の健康や口元の美しさに役立つ情報をご紹介しています。
さて、今回取り上げたいのは「歯列矯正の失敗」です。歯列矯正は決して安くない金額と長い期間をかけて行うものです。もちろん失敗しないように、歯科医師はしっかり治療計画を立て、患者さんに対して丁寧な説明を行ってのですが、現実には思ったような効果が得られないケースもあります。いったいなぜ、そのようなことが起こってしまうのでしょうか? 代表的な矯正失敗の例とその原因、失敗しないための対策についてお話ししたいと思います。
目次
代表的な失敗例とその原因・対策
歯列矯正の失敗を一言で言うと、「矯正したものの、思ったような効果が得られない」ということです。仕上がりに納得できない場合はもちろんですが、治療完了まで想定より遥かに長い時間がかかったり、特に抜く必要のなかった歯を抜かれたりしたことなども失敗の一種といえるでしょう。特に審美的な側面に注目した場合、代表的な失敗例には以下のようなものがあります。
不正咬合が改善しなかった
想定した治療期間が過ぎても、歯並びに改善が見られない状態です。矯正治療にかかる期間は、使う器具や方法によって変わりますが、矯正装置をつける期間は長くても3年程度。納得のいく説明もないままにそれ以上かかるようなら、治療がうまくいっていないか、最初の計画に問題があった可能性は高いといえるでしょう。
このような事態を避けるには、まず治療前にしっかり治療計画について説明を受け、疑問点があればその都度確認しておくことが重要です。また、マウスピース矯正など自分で付け外しができる矯正装置の場合、装着時間や着用ルールを厳守することも大切になります。
前歯が引っ込んだ
矯正の結果、歯並びはとてもきれいになったものの、逆に歯が奥に引っ込み過ぎてしまうケースもあります。矯正前と比べると口元が寂しい印象を与えてしまい、そのことがコンプレックスになってしまうようでは逆効果です。このようなときは、ティーシーズのように、歯に貼ることでボリュームを出す方法で改善が図れます。
正中(口の中心)がずれた
歯はきれいに並んだものの、矯正の影響で顎が左右にずれてしまい、上下の噛み合わせが悪くなってしまった状態です。放っておくと、頭痛や肩こりの症状が出たり、顎関節症の原因になったりする場合もあります。見た目だけでなく、噛み合わせにもきちんと配慮してくれる歯科医院で矯正治療を受けるようにしましょう。
顎関節症になった
矯正により噛み合わせのバランスが崩れ、顎への負担が増えた結果、顎関節症になることもあります。口を開く度に顎が「カクン」と鳴る、口を開け閉めすると痛みを感じる、肩こりが出始めたといった症状がある場合は、顎関節症である可能性が高いといえます。
後戻りした
矯正装置が外れた直後は問題なかったのに、時間経過とともに徐々に歯が動いて、元の位置に戻ってきてしまうケースです。おもな原因としては、リテーナー(矯正で動かした歯を安定させるためにつける保定用器材)を正しくつけていない、無意識に前歯を舌で押すなどの歯並びを悪くする習慣が改善されていないことなどが挙げられます。
リテーナーにもさまざまなタイプがありますので、事前に歯科医師と相談の上、使いやすくて続けられそうな物を選ぶことが重要です。また、舌癖については、口の周りの筋肉や舌のバランスを整えるトレーニング「口腔筋機能療法(MFT)」を行っている歯科医院に相談すると良いでしょう。
抜かなくていい歯を抜かれた
矯正の際に、本来抜かなくてもいいはずの健康な歯を抜かれた結果、噛み合わせに問題が出たり、歯と歯の間に隙間が生じるケースがあります。このトラブルについては、事前の検査不足や治療計画の見通しが甘いこと、が原因といえるでしょう。やはり事前にしっかり説明をしてくれて、疑問に感じたことを直接お話することが出来る、信頼のおける歯科医院で治療を受けることが唯一の対策です。
大事なのは信頼できる歯科医院を探すこと
歯列矯正での失敗は、再治療を受けることで治せる場合もあります。しかし、一度抜いてしまった歯は元には戻せませんし、たとえ再治療が可能だとしても、時間・金銭・心の面で大きな負担になることは間違いありません。そのような事態を避けるために大切なのは、まず信頼できる歯科医師の治療を受けることです。
治療計画の段階で、わからないことや不安なことは遠慮なく質問し、納得のいく回答が得られない場合はセカンドオピニオンを受けたり、場合によってはその医院での治療を見合わせたりすることも選択肢のひとつです。「短期間で簡単に治る」などの聞こえのいいことばかりではなく、治療の内容やリスクについてきちんと説明してくれるかどうかも、歯科医院を選ぶ際の基準にすると良いでしょう。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。