皆様、こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムが皆様のお口の美容と健康に、少しでも役立てばと思います。
さて、今回お話ししますのは、ある女性読者の方からご質問いただいた「ホワイトニングと痛み」についてです。「痛みはない?」「しみると聞いたけれど本当?」など、ホワイトニングと痛みに関するご相談を受けることは少なくありません。皆様にとっても関心の高いテーマだと思いますので、審美歯科医師として、ホンネで率直にお話ししたいと思います。
目次
Q:ホワイトニングは痛くない?歯にしみるって聞くけど…
小さかったとき、虫歯治療に通った歯医者さんでの経験がトラウマで、それ以来「歯医者=怖い、痛い」というイメージが消えません。大人になってからも、歯を削る「キーン」という音を聞いたり、麻酔の注射の針を見たりするだけで、体がすくんでしまいます。幸い今は虫歯がなく、歯医者さんとは無縁の生活を送っていたのですが、友人がホワイトニングを受けて歯がすごくきれいになったのを見て、私もホワイトニングを受けてみたいと思い始めました。「ホワイトニングは歯を削るわけじゃないから痛くないし、大丈夫」と思っていたのですが、ネットで調べてみたところ「ホワイトニングは歯にしみることがある」と言う人もいて、もし痛かったらどうしようと恐怖を感じています。本当のところ、ホワイトニングで痛みを感じることはあるのでしょうか?
K鈴
A:知覚過敏の人などは痛みを感じることがあるかもしれません
K鈴様、ご相談ありがとうございます。
歯科医院に嫌な思い出があるにもかかわらず、自らホワイトニングを受けてみようと情報収集を始められたこと、本当にすごいと思います。そこで「痛みがあるかも」と書かれていれば、不安を感じるのが当然ですよね。
ご質問の「ホワイトニングで痛みを感じることがあるかどうか」ですが、歯が健康な人は通常は痛みを感じることはありません。しかし、歯に欠けがあったり、知覚過敏の症状があったりすると、ホワイトニング時に痛みを感じる場合もあります。ホワイトニングのメカニズムをおさらいしながら、どんなときにどのような痛みを感じる可能性があるのかについて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
ホワイトニングのメカニズム
ホワイトニングは、歯の表面の汚れを落とすクリーニングとは違い、専用のホワイトニング剤を歯に塗って行う「内部から歯を白くする」ための措置です。歯科医院で集中して行う「オフィスホワイトニング」と、歯科医師の指導のもと、専用のマウスピースを使って自宅で時間をかけて行う「ホームホワイトニング」の2種類があり、前者はオキシドールと同じ過酸化水素、後者は過酸化尿素がホワイトニング剤の主成分となっています。なお、過酸化尿素は塗布後、化学変化により過酸化水素と尿に変化する物質です。
歯が白くなるのは、この過酸化水素から発生する「ヒドロキシラジカル」という物質が歯のエナメル質内に入り込んだ色素を分解した結果です。歯を削ることもありませんし、ホワイトニング剤が歯を溶かしているわけでもありません。歯には負担をかけませんから、痛みも感じないのが通常です。また、エナメル質の結晶構造が変化する事により、光の乱反射が生じて象牙質の色が透けずに、白く見えると考えられています。
歯に傷や知覚過敏があると痛みを感じる可能性あり
しかし、もし歯に欠けがあったり、歯の表面のエナメル質が削れて下の象牙質が露出したりしていると、少し事情が変わってきます。
歯は、真ん中に「歯髄」と呼ばれる歯の神経があり、その周りを象牙質、一番外側をエナメル質が覆う三層構造になっています。エナメル質は人の体の中で最も硬く、外の刺激から歯を守る役割をしています。その下には象牙質があり、1000本以上の「象牙細管」と呼ばれる細い管が歯の中心の歯髄に向かっています。外からの刺激はその管を通して歯髄へと伝えられます。欠けた歯や、何らかの原因で表面のエナメル質が削れて下の象牙質が露出してしまうと、外からの防御が不十分になり、ちょっとした刺激でもしみて痛みを感じやすくなる「知覚過敏」の症状が出てくるのです。
冷たいジュースを飲んだり、アイスクリームを食べたりした際に歯がしみるようなら、知覚過敏あるいは虫歯などがある証拠です。また、欠けてしまった歯をそのままにしている、噛む面の歯のエナメル質が噛み合わせによって磨り減っている、虫歯治療で入れた詰め物に隙間ができている場合も、その場所にホワイトニング剤を塗ることでしみて痛みを感じることがあります。
虫歯・歯周病の兆しを早く見つけるためにも、一度受診してみるのがおすすめ
こうなると「もし痛かったら嫌だから、ホワイトニングをやめよう」と思われるかもしれません。
しかし、歯が健康であれば痛みを感じることはありませんし、逆にもしホワイトニングを行って痛みを感じるようであれば、歯が欠けてひびがあることや、エナメル質が削れて象牙質が露出していたりするなど、何らかの問題が発生している可能性が高いということです。もしこれらの中に、虫歯や歯周病につながりそうなものがあると診断されたのであれば、早く治療したほうがいいですし、初期段階の治療であればほとんど痛みも感じず、削ることなく治せることもあります。
虫歯や歯周病の多くは、気付かないうちに進行してしまいます。K鈴様は、最近歯科医院は利用されていないとのことですから、口内を一度チェックしておくという意味でも、ホワイトニングの相談がてら、歯科医院でお口の中を診てもらうことをおすすめいたします。
なお、プレジールではホワイトニングのまえに診察を行いますが、この段階で治療が必要な歯が見つかったときは、できるだけ痛くない治療法をご紹介しています。また、実際の治療に際しても、歯に優しい薬剤の使用や健康な歯を護る提案をさせて頂いておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。