こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。
いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科”ここだけの話”」をご覧いただき、ありがとうございます。
このブログを通じて、歯やお口元の美と健康の重要性について参考になる情報をお届けし、少しでも皆様のお役に立てればと思っています。
さて今回は、「デンタルフロスの効果」についてお話ししたいと思います。
皆様は、普段の歯磨きにプラスして、何かケアグッズを使っておられますか?「忙しくて、歯磨きをするので精一杯!」という方も多いことでしょう。
しかし、歯磨きだけでは、どんなにがんばっても歯と歯のあいだの汚れを落とし切ることはできません。「日本歯科保存学会」の学会誌「日歯保存誌」によると、歯磨きのみでの歯垢(プラーク)除去率は61%にとどまりますが、デンタルフロスを併用したときの歯垢除去率は79%にアップするとされ、口腔内の健康維持の必需品として使用が推奨されてきました。
しかし、つい最近、AP通信が「フロスの効果を裏付ける十分なエビデンスはない」との調査結果を発表し、デンタルフロスの信用性が揺らぐ事態となっています。
目次
AP通信による調査結果とは?
AP通信は、過去10年間に実施された25件の研究データについて調べた結果、フロスの使用を支持するエビデンスは弱いとする調査結果を発表しました。調査したデータの多くは、歯ブラシを単独で使用した場合と、フロスを併用した場合を比較したものでしたが、いずれも信頼性に欠け、質も低く、中程度から高程度のバイアスが生じている可能性があるときびしく指摘しています。
これを受けてアメリカ歯周病学会(AAP)理事長のWayne Aldredge氏は、フロスの有用性に関する科学的根拠は弱いとし、AAPはアメリカ歯科医師会(ADA)に従ってフロスを推奨しただけだと述べました。また、フロス使用を推奨する根拠をADAに求めたところ、「フロスの使用により歯肉の炎症がやや低減する」とした2011年の研究レビューなどが提示されたものの、今回の新しいレビューの著者らは、その信頼性は低いとしています。
エビデンスが弱いからといって、虫歯予防効果がないわけではありません
1908年からフロスを推奨しているADAは、AP通信の調査結果を受けて、「フロスはプラークを落とす物であり、歯間の汚れを落とすことが証明されている」として、研究対象者らがフロスを正しく使っていないことがエビデンスの弱さにつながったとする声明を出しています。
では、「エビデンス」とはいったい何なのでしょうか。
2016年1月20日の朝日新聞デジタルに、「『エビデンスがない』は『効かない』を意味するか」という特集記事が掲載されていました。
記事中に、エビデンスに関する重要な考え方として「Absence of Evidence is not Evidence of Absence.(効くというエビデンスがないことは、効かないことを証明しているわけではない)」という一文がありましたが、まさにそのとおりで、「エビデンスが弱い」ということは「検証結果を示すデータが少なく、効果のほどが明確でない」という解釈が正しいと思われます。
今回のAP通信の調査を見るかぎり、デンタルフロスの有用性に関してエビデンスが弱いというのは事実でしょう。しかし、だからといってデンタルフロスではプラークが落とせない、まったく意味がない、ということではないということです。
特に予防歯科の観点から考えると、歯の隙間に溜まった汚れを落とすことは非常に重要であり、汚れを落とすためのケア用品としてデンタルフロスはとても有効です。ブラッシングで取り除ける汚れは、歯の表面に付着している物だけなので、毛先が届かない歯と歯のあいだにはどんどん汚れが溜まり、気付かないうちに虫歯が進行していくことになりかねないからです。
デンタルフロスでできることは?
デンタルフロスを適切に使い、歯の隙間に溜まりがちなプラークを取り除くことが虫歯予防につながるというお話をしました。
デンタルフロスを使ってプラークを除去することによって得られる効果はほかにもあります。
歯周病予防になる
歯周病は、プラークの中の細菌が増殖して歯肉に炎症を引き起こし、やがて骨を溶かしていく病気です。虫歯と並んで、歯を失う大きな原因とされています。プラーク1mgの中に住み着いている細菌は、なんと約10億個。放置した場合のことを想像するだけで、ぞっとするような数です。デンタルフロスを使ってプラークを取り除くことが、歯周病ケアの一環として大切であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
また、デンタルフロスを入れたときに歯茎から出血があれば、すでに歯周病になっている可能性が考えられます。歯周病になっていないか、チェックするためにデンタルフロスを使ってみるのもいいかもしれませんね。
口臭予防になる
食べかすやプラークは臭いの原因にもなります。自分に口臭があるかどうかはなかなかわかりにくいものですが、使用後のデンタルフロスのにおいを嗅いでみるとすぐにわかります。もし、少しでも嫌なにおいがしたら、それは口臭のサイン。よりていねいなケアを行わなくてはなりません。
口腔内の健康を守り、歯と歯茎の健康と美しさを保つためにも、できる限りのセルフケアはやるべきだといえるでしょう。加えて、歯科医院での定期的なクリーニングを行う事が重要です。
皆様のためにプレジールでできること
自宅でできる効果的なデンタルケアを知るためには、やはりプロである歯科医師にご相談いただくのが一番です。歯科医院では、一人ひとりの口腔内の状態や歯並びに治療の進行度などを加味して、最善のケアを提案してくれるはずです。
もちろん、審美歯科であるプレジールも同じです。
抜いたり削ったりせずに歯を白くするティシーズやホワイトニング、口元のエステなどでご来院された患者様にも、効果的と思われる歯磨きの仕方や歯周病予防についてお伝えさせていただいております。美しい歯と口元を保つためには、内面から健康であることがとても大切です。
「歯を大事に、体にやさしく」を第一に考える私たちに、歯・お口元全体の美容から、アンチエイジング、歯の健康まで、どうぞお気軽にご相談ください。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。