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そもそも「差し歯」って何?医療用語の基本をおさらい

2024.08.20

差し歯

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。
「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科”ここだけの話”」をご覧いただき、ありがとうございます。このブログでは、気になるけどなかなか聞けない歯の話や、口元の美しさにつながるヒント、歯に関するさまざまな情報などをお届けしています。

スマートフォンが広く普及し、わからないことは気軽に、手早く調べられる時代になりましたね。歯や口周りに関するお悩みも、最初にインターネットで調べ、知識を十分に得てから来院される方が増えてきました。納得のいく治療を受けるためにも、歯科医師の話をしっかりと理解した上で検討するためにも、事前にある程度の情報を得ておくことはとても大切なことだと思います。
一方、医療系のサイトには専門用語が多いので、どうしてもわかりにくいという声も多く耳にします。「何となくわかっているつもりの用語がたくさんある!」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、混同しがちな歯科用語を中心に解説させていただこうと思います。

違いがわかりにくい専門用語

・差し歯(クラウン)
歯科医院で「差し歯をおすすめします」と言われて、「入れ歯になるの!?」と驚いたという話を聞いたことがあります。「歯を差す」という言葉のイメージから、どちらかというとインプラントや入れ歯に近いものを想像してしまうのでしょう。
実際の差し歯とは、自分の歯を土台としてかぶせ物をして、審美面や機能面を修復する治療のことです。残った根や歯の一部に差し込むことから差し歯と呼ばれています。
こちらに図解で説明していますのでご覧ください。

「クラウン」と「差し歯」は何が違うの?

専門用語で「クラウン」という表記を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。クラウンとは、歯を削ったあとにかぶせる金属製の人工歯のことで、「差し歯」や「かぶせ物」と同義であると考えていただいて構いません。歯の一部分だけを覆う「部分被覆冠」や、歯の全部を覆う「全部被覆冠」などがあり、大きな虫歯や根管治療のあとはクラウンによる治療になることがほとんどです。
金属製やレジン(プラスチック)製、セラミック(陶器)製・ジルコニア製など、さまざまな種類があります。

インプラント

差し歯は、インプラントとは別物であるというお話をしたところで、次は「インプラント」についてご紹介していきたいと思います。
事故や虫歯、加齢などが原因で歯を失った場合、従来は入れ歯によって補うのが一般的でした。現在では、インプラントは入れ歯に代わる手段として世界中で取り入れられています。
入れ歯は取り外しが自由で調整しやすく、保険が利くものであれば安価で手に入るのがメリットですが、天然の歯のように噛むことは難しく、咀嚼力が落ちるというデメリットがあります。一方のインプラントは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯をかぶせることによって、天然の歯に近い外見と咬む力を取り戻すことができます。ただし、歯の根と歯を支える顎の骨との間に、クッションの役割を果たす歯根膜が無いため、食べ物の硬さを感じる事はできません。

ブリッジ

「入れ歯」「インプラント」と並んでよく聞くのが「ブリッジ」ではないでしょうか。ブリッジも、失った歯を補完する手段のひとつで、失った歯の前後の歯を利用して橋をかけるような形を作り、ダミーの歯で補います。
ブリッジの最大のメリットは、自分の歯を土台にしているため、入れ歯よりも噛む感覚が残ることと、保険診療で費用を安価に抑えられることです。また、インプラントと違って、外科手術をしなくて済むため治療期間が短く、リスクも低減されます。しかしながら、健康な歯を削らなければならないというデメリットがあることもまた、ダミーと歯茎の間を清潔に保つことが重要になります。

インレー

「インレー」とは、虫歯などで歯を削ったあとの穴に詰める詰め物のことをいいます。ちなみに、削った範囲が大きいときに選択されるのが「アンレー」さらに大きい場合が「クラウン」です。
インレー、アンレーは、保険診療の場合は銀色のパラジウム合金が使われます。丈夫で割れにくいのですが、笑ったときなどにどうしても目立ちますし、金属アレルギーを引き起こす懸念もあるのが難点ですね。
最近では、費用よりも見た目や変色のしにくさなどから、レジン(プラスチック)で作られたもの、セラミック(陶器)で作られたものを選ぶ患者様も増えています。

頻出する単語「セラミック」について

さて、これまでのお話の中に、「セラミック」という言葉が複数回にわたって出てきたことにお気付きでしょうか。クラウンやインレーについて調べていても、「セラミッククラウン」や「セラミックインレー」といった表現をよく目にすると思います。
セラミックは審美性が高く、虫歯の再発リスクも低い材料として知られていますが、実はいくつかの総称として使用されているケースがあります。以前治療した銀歯を、白く目立ちにくいセラミックに替えたい、というニーズも増えていますので、ここで詳しく見ておきましょう。

ハイブリッドセラミック

セラミックにプラスチックを混ぜた素材になります。セラミックの中では最も安価です。硬い一方割れやすいセラミックに比べ、弾力性のあるレジンを混ぜる事によりしなりが生まれ、歯に近い材質となります。ただし、完全なセラミック素材と比べると、セラミックより色の表現に限界があります。

オールセラミック

その名のとおり、すべてセラミック素材でできているものです。審美性に優れ、材質自体の変色はなく、多少費用がかかっても歯を美しくしたいという方におすすめです。天然の歯の色調表現に最も優れます。

ジルコニアオールセラミック

人工ダイヤモンドといわれる非常に強い素材、ジルコニアを芯材に使用したセラミック歯が「ジルコニアオールセラミック」です。費用は最も高くなりますが、オールセラミックよりもさらに強度が高く、奥歯やブリッジに最適です。以前はマットな白さであるため、主に奥歯に用いられていました。最近ではオールセラミックには及ばないものの、透明感が増して前歯にも使われるようになっています。

正しい知識に基づく的確な情報収集を

今回は、審美歯科用語の基本をおさらいしてみましたが、いかがでしたか?
歯科医院にかかるまえの情報収集はとても大切です。しかし、誤った知識を基に情報を読み進めてしまうと、知識に偏りが生まれるだけではなく、機会損失にもつながりかねません。
もし、専門用語がわかりにくくて治療方法を理解できないというときは、思い切って直接、歯科医師に聞いてみましょう。正しい知識に基づいた情報を知っていただき、最善の治療を受けていただけるよう願っております。

  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。