コラム

Column

ご存じですか?プラークと歯石と歯周病のこわ~い関係

2016.04.15

プラーク

審美歯科について

歯周病

歯石

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ココだけの話」をいつもご愛読いただき、心より御礼申し上げます。
さて、今回は審美歯科医師というよりも、ひとりの歯科医として、皆様の歯・口腔内の健康のために大切なお話をしたいと思います。それは、プラーク(歯垢)と歯石、そして歯周病に関する内容です。

プラークと歯石と歯周病は、実は切っても切れない関係にあります。読んでいてちょっと気味が悪いところもあるかもしれませんが、プラークを放置しておくことで歯周病の原因となり、虫歯など歯の審美性を大きく損なう可能性もあるわけですから、この機会に正しい知識をぜひとも身に付けていただければと思います。

えっ? プラークって「細菌のかたまり」!?

プラーク(正確にはデンタルプラーク=Dental plaque)とは、単なる「歯についた食べかす」ではなく、食べかすに細菌が繁殖して、白くベタベタとした粘着質の物質に変化した物をいいます。

厚生労働省の「e-ヘルスネット」によれば、プラーク1mgの中におよそ300種類、1億個もの細菌が含まれているとされています。こう考えると、プラークは汚れというより「細菌の固まり」と認識したほうが良さそうです。

例えば、台所や洗面台を不潔にしておくと、得体の知れないヌルヌルした物がこびりつくことがありますね。これは「バイオフィルム」といって、さまざまな種類の細菌が共存し、一種のコミュニティを形成している状態を指します。

なぜ「コミュニティ」なのかというと、バイオフィルムの中では、さまざまな種類の細菌同士が協力しあって強い生命力を保てる環境を形成しているからです。このため、薬などを塗布してもバイオフィルムは容易に殺菌することができません。また、少々バイオフィルムを破壊しても、残った部分からまた勢力を拡大していくというやっかいな性格を持っています。

プラークも一種のバイオフィルムと考えることができます。そんなものが口の中にあると考えただけでぞっとしてしまいますね。

プラークが虫歯の原因になる理由とは?

口の中は食事によって酸性化し、唾液によって中和されるというサイクルを保っています。
口の中が酸性化すると、歯の表面から少しずつカルシウムイオンが溶け出していきます。これを「脱灰」といいます。
しかし、唾液の働きで口の中が中性に戻ると、溶け出したカルシウムイオンは再び歯に戻ります。これを「再石灰化」といいます。

歯の健康は脱灰と再石灰化の繰り返しによって保たれるのですが、何らかの原因によって再石灰化が妨げられると脱灰が進行し、ついには歯のエナメル質の層に穴が開いて虫歯になってしまうのです。

脱灰を進行させる・再石灰化を妨げる原因はいろいろありますが、プラークはその大きな原因のひとつです。
プラークの細菌は、糖分を分解して酸を作ります。そしてさらに、プラークは歯や歯の隙間、歯の付け根などにしっかりとへばりついているため、ここに長時間酸がとどまり、脱灰を進行させてしまうのです。

プラークは歯周病の原因! そして歯石にも

プラークの細菌は酸だけではなく、毒素も作り出します。この毒素によって歯茎が腫れたり、出血したり、あるいは歯茎の奥まで細菌や毒素が入り込んで、歯を支える骨を溶かしたりする場合もあります。これらの病気の総称が、いわゆる歯周病です。

そして、プラークを長期間放置しておくと、石灰化して、軽石のように固まってしまいます。これが「歯石」と呼ばれるものです。

歯石の表面はザラザラしているので、そこにさらにプラークが付着するという悪循環を繰り返します。また、歯石によってブラッシングの際に毛先が届きにくくなり、磨けない部分が次第に増えていきます。

歯周ポケットに歯石ができてしまった場合には、歯周ポケットを刺激したり、細菌を繁殖させたりするために炎症を発生・悪化させてしまうことも考えられます。また、歯石は歯周ポケットを大きく深くさせてしまう原因にもなります。

プラークは歯磨きである程度除去できますが、歯石は歯科医院にある専用の機器を使わなくてはなかなか取れません。歯石取りのためのツールも市販されていますが、歯や歯茎を傷める可能性があるので、セルフケアはあまりおすすめできません。歯科医院に行ってスケーリング(歯石取り)やクリーニング(PMTC)などの施術を受けることをおすすめします。

プラークコントロールは食後の歯磨きが重要!

虫歯や歯周病を予防するためには、プラークを極力減らすことが必要です。プラークを完全に口腔から除去してゼロにすることは不可能ですが、可能な限り減らすよう努力することを「プラークコントロール」といいます。

プラークは、食後約8時間で発生します。このため、日常的なプラークコントロールとしては食後の歯磨きが重要になります。

一説には「食後すぐに歯磨きするのは良くない」ともいわれるようですが、日本小児歯科学会も、「通常の食事のときは早めに歯磨きをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことのほうが重要」と提言しています。

また、歯と歯の間や、歯並びの悪い場所のプラークは歯ブラシだけでは除去するのが難しい場所です。ホームケアでもデンタルフロスや歯間ブラシなどを使って、できるだけお口の隅々までプラークコントロールを心掛けてください。

大切なプラークコントロール

プラークと虫歯の因果関係、そしてプラークが歯石の原因となり、さらには歯周病の原因となることなどもご理解いただけたでしょうか。
まさしくプラークは「口の万病のもと」ともいえる、怖い存在ですね! 日頃から、歯磨きなどによるプラークコントロールはくれぐれも大切にしたいものです。

ただし、いくらデンタルフロスや歯間ブラシなどを使っても、ホームケアだけでは十分なプラークコントロールは困難です。例えば歯周ポケット深くなってしまった場合、歯周ポケットの奥をきれいにすることは、ご家庭では不可能といってもいいでしょう。

できれば定期的に(数ヵ月~1年に1回程度)歯科医院に通い、歯科医師や歯科衛生士による専門的な歯のクリーニング(PMTC)をお受けになってみてはいかがでしょうか。プレジールでも、歯科医師によるクリーニングサービスを行っています。

清潔な歯は美しい歯の基本です。ホームケアと歯科医師による専門ケアの連携で、大切な歯をプラークからがっちりガードしましょう!


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。