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気になる銀歯の被せ物を、安く、簡単に白くする方法は?

2017.07.27

審美歯科について

皆様、こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムでは、毎回皆様のお口の美容と健康に役立ちそうなテーマを紹介しています。

今回お話ししたいのは、ある読者の方からご質問いただいた「できる限り簡単に銀歯を白くする方法」についてです。実は、「過去の治療の際に入れた銀歯を白くしたい」というご相談を受けることは多く、皆様の関心の高いテーマと思いますので、ここで取り上げさせていただきました。審美歯科医師としてホンネで率直にお答えいたします。

Q:安く、簡単に銀歯を白くする方法はありませんか?

上の奥歯が虫歯になり、銀歯での治療を選択しました。治療時は「前歯じゃないから普段は見えないし、保険診療の銀歯で十分」と思っていたのですが、口を開けると思いのほか目立っていることにびっくり。笑ったときや、友達とおしゃべりしているときにも目についているのでは…と不安で、なんとか白くしたいと考えています。
そこで、インターネットで銀歯を白くする方法について調べてみたところ、セラミッククラウンという方法があることを知りました。しかし、セラミッククラウンは保険診療に比べて高いので、できればもっと安くて簡単な方法がいいと思っています。例えば、ホワイトニングペンのような物で白く着色する方法でも良いのですが、もっと簡単に銀歯を白くすることはできないのでしょうか?

K代

A:ほかの方法もありますが、耐久性や健康面、審美面まで考えるとオールセラミックのクラウンがおすすめです

K代様、ご相談ありがとうございます。
治療前から、治療後の状況を正確に予想するのは難しいですよね。まして、口の中は普段自分では見ることができませんから、不安になる気持ちは痛いほどよくわかります。

結論から申し上げますと、銀歯を白くする方法はセラミッククラウン以外にもいくつかあります。ただ、耐久性や健康への影響、審美面まで考えると、審美歯科医師としてはやはりオールセラミックやジルコニア(セラミックの一種)のクラウンをおすすめしたいと思います。その理由を紹介いたします。

銀歯を白く着色する方法はない

銀歯を白くすることを考えたとき、最も簡単な方法は銀歯を白く着色することです。しかし残念ながら、現在の歯科医療には銀歯を直接白くする治療法はありません。

「ホワイトニングペン」は、その名前だけ聞くと着色のための道具のように思えますが、実は修正液のように歯を白く塗るためのアイテムではなく、歯の表面の汚れを落としたり内部を漂白したりする成分を配合した物。このペンを使うことで、多少のホワイトニング効果が得られる可能性はありますが、基本的には歯科医院などでホワイトニングの施術を受けたあとに「その白さを維持するために」利用するもので、銀歯を白くする効果はありません。

歯の治療に使う素材は審美・機能・健康面を考えて総合判断を

銀歯を白くする方法としては、K代様が調べられた「セラミッククラウン」のほかにも、「ダイレクトボンディング法」があります。また、今回はあてはまりませんが、小臼歯(4番目と5番目の歯)に限っては、保険内診療で「ハイブリッドセラミック」を使う方法もあります。

・ダイレクトボンディング法(歯の一部に金属が詰めてある場合)

ダイレクトボンディング法とは、レジンという歯科治療用の樹脂素材を主成分とする素材を使った治療方法です。銀歯を一度外したあと、白いペースト状の素材を積み重ねて、見た目を自然に修復するというもので、健康な歯をあまり削らずに治療できる点が大きなメリットです。

保険外診療となりますので、費用は1本あたり1~5万円ほど。ある程度の耐久性はあるものの、セラミックに比べると強度は落ち、数年経つと歯とレジンのあいだが変色する特徴があります。

・ハイブリッドセラミック

一方、ハイブリッドセラミックとは、レジンにセラミックの微粒子を練り込んだ歯科用の樹脂素材の一種です。この素材を使ったクラウンは保険適用外でしたが、2014年4月から、小臼歯4番と5番の2本に限り、CAD/CAM装置(光学的に歯の形を立体的に読み取り、コンピューター制御でクラウンやインレーを作成する装置)を使用して作る物には、保険が適用されるようになりました。

セラミックほどではありませんが、レジンに比べると強度は高く、レジンとセラミックのちょうど中間の性質を持っています。また、審美面でも、セラミックのほうが天然の歯に近づきます。

・セラミッククラウン(オールセラミック)

これらに対し、「セラミッククラウン(オールセラミック)」とは、全体がセラミックでできたクラウンのことです。強度・耐蝕性に優れた「ジルコニア」や「アルミナ」など、セラミックの種類によって多少の強度・審美性の違いはありますが、総じて耐久性に優れ、天然の歯に近い色合いが再現できるなど、審美面でも優れているのが特徴です。

銀歯のクラウンは、機能面では大きな問題はありませんが、審美面はもちろん、金属が唾液などでイオン化して沈着することが歯茎の黒ずみの原因になったり、金属アレルギーの心配があったりと、長期的視点で見れば健康面にも影響を及ぼす可能性があります。

そこで、いったん銀歯を外して、金属を使わない被せ物に替えるのがおすすめです。銀歯を外す際、被せ物の下で虫歯が進行していなければ大きく歯を削ったりすることはありませんし、虫歯が進行しているなら早く治療を始めることができます。

奥歯には耐久性に優れたセラミッククラウンが最適!

上記3つの方法は、すべて金属を使わない治療法なので安心して選んでいただけるのですが、これまでご紹介しましたように、耐久性ではセラミッククラウンに一日の長がありますし、どうしても経年劣化が避けられないダイレクトボンディングはもちろん、ハイブリッドセラミックに比べても審美面のメリットが大きいこともポイントです。特に今回は、力がかかりやすい奥歯でもありますので、審美性・耐久性の両面から考えてセラミッククラウンをおすすめしたいと思います。

歯の治療にどんな素材を使うかは見た目の問題だけでなく、歯の機能や健康にも関わってきます。歯の治療法を比較する際は、審美・機能・健康への影響を総合的に考えてお選びください。もちろんプレジールでは、一人ひとり、ご希望に合わせた治療法を提案しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。