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原因は詰め物材にあり?前歯の詰め物の変色を防ぐには

2017.03.20

審美歯科について

皆様、こんにちは。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読くださり、ありがとうございます。このコラムが皆様のお口の美容と健康のために、少しでもお役に立てればと思っています。

さて、今回取り上げたいのは「前歯の詰め物の変色」についてです。前歯は口を開けたときに、真っ先に目に付く場所だけに、患者様からのご相談も多いのですが、中でも「以前治療した部分の詰め物が変色して、だんだん目立つようになってきた」というお悩みをお持ちの方が多いので、このテーマを選ばせていただきました。詰め物の素材に関する話であり、これから治療を受けられる人の参考にもなるかと思いますので、美容歯科医師としてのホンネで率直にお話ししたいと思います。

コンポジットレジンは変色を避けられない

そもそも、なぜ詰め物は変色してしまうのでしょうか?それは、詰め物に使われる素材に原因があります。
それほど大きな虫歯ではない場合、虫歯の治療は、虫歯部分をきれいに削って詰め物をするという手順で行われます。この際、詰め物として使われる素材はいろいろありますが、一般の保険診療で使われるのはほとんどの場合銀(正確には12%の金含有の金銀パラジウム合金)か、プラスチックの一種であるコンポジットレジンです。中でも前歯の場合は、色が目立つ銀ではなく、白い素材であるコンポジットレジンが使われることがほとんどです。

このコンポジットレジンは、処置が1日で終わる、1本700~1,000円ほどと安価であるなど、数多くのメリットがありますが、困った性質もあります。確かに最初は白色ですが、プラスチックであるため吸水性があり、時間が経つと変色してしまうのです。お茶やコーヒー、タバコなどの着色の影響も受けやすく、通常で4~5年、早ければ2~3年で黄色味を帯び、場合によってはうす黒く変質してしまうこともあります。「詰め物が変色してしまった」とのご相談の原因は、ほぼ100%経年劣化で変色したこのコンポジットレジンだといえます。

根本的な問題解決には、ほかの素材を使う必要あり

このように詰め物が変色してしまった場合、まず考えられる解決法は、一度詰め物を外して同じコンポジットレジンを詰め直すことです。それが一番簡単ですし、1回のみなら歯に負担がかからない方法ではあります。ただ、この方法だといずれまた経年劣化により変色してしまうので、その度に再治療が必要になるという問題点があります。歯のためには負担のかかる再治療は少ないほうがいいので、何度も再治療を行うのはできるだけ避けたいところです…。審美歯科医師としては、積極的におすすめできる方法ではありません。

ただ、最近はコンポジットレジンも進化しており、以前よりは長い期間、白さを保つことができるようになっています。また、どんな治療法でも、天然の歯ではない以上「この治療法なら絶対再治療なしで大丈夫」ということはありません。完璧を求めすぎず、再治療はある程度必要なものだと割り切って考えるのも大事なことです。自費診療にはなりますが、「ダイレクトボンディング」や「オールセラミック」など、審美的にもより自然の歯に近く、経年劣化が起こらない治療法もあります。

経年劣化が起こらない治療法もある

そんな治療法のひとつ「ダイレクトボンディング」とは、セラミック(陶器)とプラスチックの混合素材を、直接歯に貼り付けていく方法です。これは、審美目的の場合、保険適用外となりますので、コンポジットレジンの詰め物より費用はかかりますが、透明感や光沢のある自然な歯の美しさを表現でき、経年による変化もほとんどありません。また、短期間で仕上げることができ、歯が欠けている状態や、歯と歯のあいだに隙間があるいわゆる「すきっ歯」の状態も改善できます。
ただし、ダイレクトボンディングは、担当医の知識や技術が仕上がりに直結する方法でもありますので、施術を受ける際には歯科医師とよく話し合い、信頼できる医院・先生を選ぶことが大切です。技術の優れた歯科医院・歯科医師で施術を受ければ、長期にわたって機能的にも審美的にも良い状態を保つことが期待できます。

一方、「オールセラミック」とは、すべての詰め物やかぶせ物にセラミック(陶器)素材のみを使って治療するもので、セラミックインレー(詰め物)とセラミッククラウン(かぶせ物)があります。こちらも自費診療となりますが、コンポジットレジンの詰め物はもちろん、ダイレクトボンディングと比べても、より光沢があり自然の歯の色調に近い仕上がりが期待できるのがメリットです。また、経年による色の変化もありません。
口内環境の変化や噛み合わせのバランスの変化などで再治療が必要となる場合はありますが、長期的に美観・機能の両方を保ちたい方にはおすすめの治療法といえます。再治療せずに過ごせる期間=治療後の歯の寿命は、俗に平均7~10年といわれていますが、周りの歯が健康で噛み合わせにも大きな問題がなければ、10数年、数十年単位で治療の必要なく過ごせる場合も珍しくありません。

なお、それぞれの治療法は、最初の来院時から行うこともできますし、コンポジットレジンの詰め物からダイレクトボンディングやオールセラミックへと切り替えることも可能です。

「ティーシーズ」もおすすめしています

笑った際に真っ先に見える前歯は、歯の中でも特に目立つ所です。特に審美性に気を配りたい場合には、コンポジットレジンなどの素材を使って、いったんしっかりと虫歯を治療した上で、天然の歯の上に専用の創作歯を貼り合わせる治療法「ティーシーズ」を行うこともできます。

ティーシーズはプレジール独自の治療法で、ラミネートベニアに似ていますが、健康な歯を削ったり抜いたりせずに行えるのが大きな特徴です。従来の方法と比べても歯や体にかかる負担が少なくて済み、審美的にも天然の歯の色や形に合わせて美しく仕上げることができますので、こちらも一度ご検討ください。もちろん、プレジールではいつでもご相談をお受けしています。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。