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生まれつきの歯の黄ばみの原因と対策とは? 白くする方法について歯科医が解説

2019.01.11

テトラサイクリン

ホワイトニング

生まれつきの歯の黄ばみにずっと悩んできた。これまで歯のことで嫌な思いを随分してきた。もう諦めていた。けど、なんとかならないだろうかという期待も…

この記事はそんなあなたのために「生まれつきの歯の黄ばみの原因と対策」について「生まれつきの歯の黄ばみ」で悩んできた患者さんと向き合ってきた歯科医が徹底解説。

2019年現在、歯を白くするいろんな方法があります。その代表的なものがホワイトニングです。ですが、実は歯の黄ばみの原因によって、対処方法が異なります。この記事では、歯の黄ばみの原因別に対処方法をお伝えしていきます。

もしあなたが生まれつき歯が黄色いことにコンプレックスを持っていたとしたら、これまでたくさん悩んでこられたはずです。

「小さい頃から人前で笑うのが恥ずかしい」「いつも口元を隠している」「なんとかして治したい」

この記事は、そんな歯の悩みを持つあなたのための記事です。 

まず「歯の黄ばみの7つの原因」についてです。今回メインでお話ししたいのは「元々黄色味が強い歯を白くする方法」についてです。歯を白くすることを希望して当院にいらっしゃる方は多いのですが、その中で「生まれつき歯が黄色くても白くできますか」という相談を受けることがあります。そのことからも、元々黄色味が強い歯を白くする方法について知りたい方が多いと思います。

「生まれつきの歯の黄ばみの」原因については詳しくは次の章でお話ししますが、まずは一般的な「歯の黄ばみの7つの原因」についてご覧ください。

歯が黄ばんで見える原因は汚れの付着だけではなく、次のようにさまざまなパターンがあります。

1.生来の色合い

歯の見た目の色は、中心にある象牙質の色で決まります。その外側のエナメル質の色は一般的に「半透明」とされていますが、実際は髪や肌の色と同じで一人ひとり違いがあり、もともと黄色味が強い方もいらっしゃいます。また、このエナメル質の形成がうまくいかなくなる先天性の病気「エナメル質形成不全」などにより、黄色くなることもあります。

2.加齢による歯の変色

歯の内部は、表面を覆う「エナメル質」の下側に「象牙質」という組織があり2重、3重構造になっています。エナメル質が透明度の高い半透明色なのに対し、象牙質はもともと象牙色(黄色)なのですが、この色は年を経るごとに少しずつ濃くなっていきます。一方、表面のエナメル質の層の方は、長年使用するうちにだんだん磨り減っていくので、徐々に下の象牙質の色が透けてみるようになり、歯全体が黄色く見えるようになってしまうのです。

3.磨きすぎによるエナメル層の減少

長年歯を使っていくうちに、エナメル質が徐々に磨り減っていくのはある程度仕方のないことなのです。ただし、歯磨きの仕方次第ではこのエナメル質の減りを早めてしまう場合があります。研磨剤の入った歯磨き粉でゴシゴシ磨くことにより、エナメル質の減りが早くなり、歯が黄色くなるのを後押ししてしまうのです。予防法としては、力を入れてこするのではなく、軽い力で小刻みに磨くことを心がけてみてください。歯磨きは歯の表面に付着したプラークを落とすことが目的なので、そんなに力をいれる必要はないのです。

また、エナメル質は唾液の働きによる「再石灰化」というメカニズムで常に修復されるという特徴があります。間食が多かったり、食事に時間をかけすぎていたりして口の中が酸性の状態が長いと再石灰化の働きが悪くなるので、「間食の時間は守る」「寝る前にはきちんと歯を磨く」など、生活習慣に気をつけることもエナメル質の減少予防に役立ちます。

4.着色汚れの付着

コーヒーや紅茶、緑茶、タバコ、カレーなど色の濃い食べ物や飲み物を数多く摂っていると、歯の着色汚れ(ステイン)が徐々に付着してきます。小まめな歯磨きを行うことである程度までは予防できるのですが、ステインは一度沈着してしまうと歯磨きのみで取り除くのは難しく、歯が黄ばんで見える原因になります。

5.神経がない歯の変色

虫歯治療で神経をとった歯や事故で強くぶつけたことなどで神経が死んでしまった歯は、時間と共に黒ずんできます。

6.詰め物・金属の変色

このほかにも、詰め物や金属の変色で歯が黄色く見える場合もあります。また、病院で服用する薬やうがい薬などの影響で歯の色が変わって見えることもあります。

7.テトラサイクリン系抗生物質による変色

生まれつきの歯の黄ばみを疑っている場合、このテトラサイクリン系抗生物資による変色の可能性があります。ここまで記事を読んで、この可能性が高いと思った方は、ここからさらに詳しく解説をしていきますので記事を読み進めてください。

歯が黄色い原因は「テトラサイクリン歯」かもしれない

「生まれつき歯が黄色い」という方は確かにいらっしゃいますが、歯が黄色くなった原因は一人ひとり違い、実は生まれつきではなかったということも少なくありません。「そんな馬鹿な」と思うかもしれませんが、歯の色について悩んだとき、まず疑ってみたいのは「テトラサイクリン歯」の可能性です。

テトラサイクリン歯とは、昭和40年代を中心にマイコプラズマ肺炎や百日咳の特効薬として普及していた薬「テトラサイクリン系抗生物質」を母胎時あるいは幼少時に、たくさん取り込んだことで、色が変わってしまった歯のことです。
その変色のメカニズムは2段階。体内に取り込まれたテトラサイクリンは、形成中の歯に含まれるカルシウムと結び付き、歯の象牙質(エナメル質の下の層)の中に沈着します。そこに太陽光に含まれる紫外線があたると、沈着した物質が光化学反応を起こして象牙質の色を徐々に黄変します。さらに進むと、褐色や濃い色へと変化させてしまうのです。変化の度合いは、幼少期にテトラサイクリン系抗生物質を投与された期間によって異なり、一般的に次の4段階に分けられます。

第1度(F1):色は淡い黄色、褐色、灰色。歯冠全体が一様に着色されている
第2度(F2):色はF1より濃い。歯冠全体が一様に着色されている
第3度(F3):色は濃い灰色または青みがかった灰色で、歯に縞模様が現れる
第4度(F4):着色が強く、縞模様が明白
※近年は縞模様の有無を問わず、色によって判断するケースが増えているようです。

このうち、個人差はあるもののF2段階までであれば、歯科医院で行うホワイトニングによって白さを得られる可能性は高いといわれています。一方、F3段階以上の場合は、ホワイトニングを行うことである程度の効果は認められるものの、患者様が満足するほどの効果を挙げることは難しいでしょう。

ただし、生まれつき黄色い(と思われる)歯がすべてテトラサイクリン歯というわけではありません。歯は真ん中に歯髄(歯の神経)、その周りを象牙色の象牙質、一番外側をエナメル質が囲む三重構造になっています。そして、健康なエナメル質は半透明で、象牙質の色が透けて見える構造です。生まれつきエナメル質が薄い、象牙質の色が濃い、エナメル質の透過率が高い(透明度が高い)などの特徴がある方の場合、エナメル質の下にある象牙質の色が表面に出やすく、結果として象牙質の色が目立ってしまう場合もあります。

テトラサイクリンによる歯の変色の例

テトラサイクリンによる歯の変色の例を見てみましょう。

  テトラサイクリン歯ケース1

case1

歯科医師からのコメント

歯の付け根近くが3層ほどの横縞模様にわかれています。

テトラサイクリン歯ケース2

case2

歯科医師からのコメント

うっすらとではありますが、歯の色が3〜4層の横縞模様になっています。特に左右の犬歯の色が濃くなっています。

テトラサイクリン歯ケース3

case3

歯科医師からのコメント

2〜3層に分かれて強く色が出ています。

「生まれつき歯の黄ばみ」が原因である場合の治療法

「生まれつき歯の黄ばみ」の原因がテトラサイクリン歯である場合、歯科医院での治療法をご紹介します。下記の5つの治療法があります。

  1. ホワイトニング
  2. マニキュア(歯面コート)
  3. ラミネートベニア
  4. セラミッククラウン
  5. ティーシーズ

まとめ

「生まれつきの歯の黄ばみの原因」について解説してきました。歯の黄ばみの原因はさまざまですが、「生まれつきの歯の黄ばみ」で悩んでこられたのであればまず疑ってみたいのが「テトラサイクリン歯」です。

テトラサイクリン歯は、形成中の歯に含まれるカルシウムとテトラサイクリンが結合してしまったためにた結果変色しているただけで、歯自体の健康は保たれています。虫歯でも何でもない歯を削って治療することは、歯の健康を損なう原因のひとつです。

いつまでも健康な歯で楽しく美味しく食事がとれること、口元を気にせず笑えること、この2つがそろってはじめて、心身ともに健康といえるのです。

「歯がコンプレックスで笑顔を作るのが苦手だった」

「笑うときは口元を隠すようになってしまっていた」

「もうあきらめていた」

このように歯の変色が原因で辛い経験をされてきたあなた。本記事がこれまで「生まれつきの歯の黄ばみ」で悩まれていた方々にとっての解決策が見つかるものになっていただいていたら幸いです。

  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。