歯列矯正しかない? 歯並びにお悩みの方へのアドバイス

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、川邉(かわべ)です。
歯に関する審美的なお悩みでは、「歯並びが悪い」という患者様のお声をよく耳にします。
歯並びは人に与える印象を大きく左右しますから、お悩みになる気持ちはよく理解できます。

そこで今回は、歯並びを良くする審美歯科的施術にはどのようなものがあるのかについてお話ししていきたいと思います。

なお、ここでご紹介する施術のすべてを、当院でご提供できるわけではありません。したがって「どの治療法をおすすめする」ということではなく、「一般的に、どのような場合にどのような施術が選択できるのか? そして、その治療法の概要はどのようなものか?」ということについて、中立的な立場から歯科医師のホンネをお話しさせていただき、読者の皆様のご参考にしていただければと思います。

歯並びを良くする施術にはどんなものがある?

歯並びを良くする治療法として、一般的に一番よく知られているのは「歯列矯正」ではないでしょうか。
しかし、実際には歯列矯正以外にも、クラウンや人工歯を使用する「補綴(ほてつ)矯正」や、歯茎・顎の骨に対して外科手術を行う「外科矯正」などがあります。順番に概要をご説明しましょう。

1. 歯列矯正

歯列矯正とは、ブラケットやマウスピースなどの矯正装置を歯に装着し、2~3年という長い期間をかけてゆっくりと歯を移動させ、歯並びを整える治療法です。
歯列矯正の種類としては、歯にブラケットとワイヤーを装着する「ワイヤー矯正」、歯列にマウスピースをすっぽり被せ、マウスピースの弾力によってゆっくり歯を動かしていく「マウスピース矯正」などがあります。

歯列矯正のメリットとしては、自分の生まれつきの歯を活かしたまま歯並びを美しく整えられるという点が挙げられます。しかし、2~3年という長い矯正期間が必要で、さらに矯正終了後は、矯正期間に匹敵する長期間にわたって「保定」という作業が必要です。
保定とは、整えた歯並びをしっかり安定させるために必要な作業で、歯列に「リテーナー」という装置を装着します。これをおろそかにすると、歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。

最近の矯正装置は昔に比べて目立ちにくい色・形状の物が増えています。また、歯の裏側(舌側)にブラケットやワイヤーを装着することで、さらに目立ちにくくした「裏側矯正」という矯正方法もあります。しかし、裏側矯正でも、笑ったときには装置が人から見えてしまいますし、矯正装置が舌に当たることから、舌に痛みを感じたり、舌を傷付けたりするリスクもあります。
また、治療の際は歯に力が加え続けられるため、多少なりとも痛みを訴える患者様もいらっしゃいます。

2. 補綴矯正

補綴矯正とは、歯を削ってクラウン(被せ物)を被せたり、抜歯してブリッジにしたりして歯並びを良くしたり、当院で施術を行っているティーシーズなど、歯の表面に人工歯を接着することで「見た目上の歯並びを美しくする」という、補綴物(人工物)を使ったものです。

厳密にいうと、これらの施術は自分の歯を矯正するわけではないのですが、ほかの施術との比較から便宜上「矯正」に分類されることがあります。

補綴矯正のメリットは、歯列矯正と比較すると、短期間で歯並びを美しくできるという点にあります。このため、補綴矯正のことを別名「クイック矯正」ともいいます。

また、後ほど説明しますが、歯列矯正では対応できないケースでも施術が可能という点も補綴矯正の魅力です。

補綴矯正のデメリットとしては次のようなものが挙げられます。

○セラミックなどのクラウン…現在の歯を大きく削る必要があります。場合により神経をとったり歯の生え方によっては抜歯してブリッジにする場合もあります。
○ティーシーズ…見た目上の歯並びは美しくなりますが、歯の噛み合わせ自体が変わるわけではありません。このため、審美上の目的では問題ありませんが、噛み合わせの悪さを矯正するなど、医療的な目的には適していません。

3. 外科矯正

歯並びを悪くしている原因が顎変形症(上顎または下顎の大きさ・形状・位置などに異常がある状態)など、歯並びだけではなく顎にある場合、歯列矯正や補綴矯正だけでは効果が期待できず、顎の骨に対する外科手術が必要になることがあります。

ほかの矯正方法では対応できない顎の変形などにも対応できるというのが外科矯正のメリットですが、全身麻酔を使った本格的な外科手術が必要になり、入院の必要もあります。

それぞれの矯正方法の適性

矯正の方法が一通りわかったところで、それぞれの矯正方法でできることとできないこと、そして、どのような場合にどの矯正法が向いているのかといったことを確認していきましょう。

1. 歯列矯正の適性

歯列矯正は、自分の歯を活かして歯の向きや位置を矯正していく方法です。したがって、歯が大きい・顎が小さいなどの理由で、「歯をきれいに並べられるだけの顎のスペースがない」という場合は、一般的には、どれかの歯を抜くことによってスペースを作り、そこに歯をよせることで歯列を整えることができます。例えば、出っ歯の矯正では、犬歯のすぐ後ろの第一小臼歯または第二小臼歯を抜き、そのスペースに前歯を引っ張ってきて歯列全体を整えるケースが多いようです。

なお、歯根・歯槽骨に問題がある場合や、歯根膜に問題があり、歯と歯槽骨が癒着してしまっている場合(骨正癒着)などは、歯列矯正ができないケースがあります。

2. 補綴矯正の適性

補綴矯正は、「歯が1本だけ大きく突出している」「歯が1~2本、変な向きに生えてしまっている」など、全体の歯並びは問題なく、特定の歯だけが歯列を乱している場合に適している矯正方法です。
例えば、上の前歯がハの字型に開いてすきっ歯になっている場合、この前歯を削り、セラミックなどのクラウンを被せることによって歯並びを整えます。
しかし、「抜かない・削らない」をポリシーとしているプレジールでは、虫歯でも歯周病でもない健康な歯を大きく削ったり抜いたりすることはあまり推奨していません(もちろん、当院でも状況に応じて必要最小限度に削る処置をする場合もあります)。

このような場合、当院ではクラウンの代わりに、薄い人工歯を前歯に接着する「ティーシーズ」という方法をおすすめすることがあります。一般的には、同じく人工歯を前歯に装着するラミネートベニアという施術が知られていると思いますが、歯の表面を少し削らなくてはならないラミネートベニアとは異なり、ティーシーズの場合は、患者様の歯の形に合わせたオーダーメイドの創作歯を接着するため、特別患者さまのご希望が無い限り天然の歯をまったく削る必要がありません。

ただし、これらの人工歯を使った補綴矯正では、「自分の歯の前面に人工歯を接着する」という特性上、出っ歯や反っ歯など、歯を奥に引っ込めることが必要な矯正には適していません。

3. 外科矯正の適性

外科矯正は大がかりな外科手術を必要とするものですから、顎変形症で顔が大きく変形しているなどの重大な理由がない限り、患者様の健康のことを考えるとおすすめしにくい矯正法です。ただし、受け口や反対咬合などの場合、「外科矯正以外の矯正法では矯正が不可能」というケースもあります。

外科矯正を受ける際は、よく主治医と相談した上で、セカンドオピニオンも受けてから決断していただきたいと思います。手術によって顎の形が変わると、顔の印象は想像以上に大きく変化します。そうした点も併せてご考慮ください。

患者様の歯の状態によって適切な施術は違ってきます

歯並びの問題を解決するための方法は、必ずしも歯列矯正だけとは限らないということがおわかりいただけたでしょうか。

また、ここでご説明したように、患者様の状態によって適した施術とそうでない施術、また、施術が可能な場合とそうでない場合があります。それらも含めてどのような方法を選択するべきか、事前に歯科医師とよく相談してください。
もし施術を受けるかどうかで迷いが生じたら、当院にお気軽にセカンドオピニオンをお求めいただければ、患者様の立場に立って、歯科医師としてできる限りの助言をさせていただきます。