皆様、こんにちは。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムでは私、中村が「審美歯科医師としてのホンネ」で皆様からの質問にお答えしたり、お口の美容・健康の維持に役立つ情報をお届けしたりしています。
さて今回は、患者様からのお問い合わせが増えている「八重歯」を取り上げたいと思います。八重歯とは、犬歯(前歯から数えて3番目の歯)が歯列からずれて外側に生え、重なったように見える状態のことをいいます。欧米ではあまり歓迎されませんが、日本では昔から「八重歯はかわいい」という文化があるようで、八重歯になりたいというご相談を受けることも少なくありません。ただ、人工的に八重歯を作るのは、やり方によってはお口の健康に悪い影響を与えてしまうこともあります。そこで、ここではファッションと健康の両面から、八重歯について歯科医師のホンネで率直にお話ししていきます。
八重歯の魅力は笑顔のかわいさ
八重歯の魅力として多くの人が挙げるのが、まず笑顔のかわいさではないでしょうか。
特に女性の場合「少し幼くてかわいいイメージがある」「小悪魔的なかわいさがある」という意見は多く、また「完璧じゃないことで逆に愛嬌がある」と親しみやすさを感じる人も少なくありません。
欧米では「ドラキュラの牙のように見える」という宗教的な理由から嫌われることも多い八重歯ですが、日本では笑顔をより魅力的に見せるチャームポイント、または個性として受け止められています。
歯列矯正を行う人が多い芸能界でも、八重歯の芸能人はたくさんいるのも、その証拠といえるかと思います。
ちなみに天然の八重歯は、永久歯が生えてくるときにスペースが足りなかったために起きることがほとんどです。スペースが足りなかった原因は、「生まれつき歯が大きい」「顎の骨の発達が不十分だった」「乳歯が遅くまで残りすぎた」「遺伝的要因があった」とさまざまで、片側だけ八重歯という場合もあります。
健康な歯を削って差し歯にするのは絶対ダメ
ただ、いくら魅力的でも、八重歯は歯並びが悪い状態であることには違いありません。
歯磨きがしにくい分、歯並びがきれいな人に比べて虫歯や歯周病になるリスクは高いですし、歯周病などが原因で知覚過敏を引き起こすこともあります。歯が外側に生えているため口内を傷付けやすく、そこから口内炎につながることもありえます。また、噛み合わせに参加していない歯があることから、ほかの歯にかかる負担が増え、歯の寿命が短くなってしまうことも考えられます。
歯並びが悪いということは、お口の健康という点から見ると決して望ましい状態ではないのです。
人工的に八重歯を作るということは、「わざと歯並びを悪くする」ということなので、歯科医師としてはやはり賛成できません。特に、八重歯にするために健康な歯を削って差し歯にしてしまうのは、お口の健康のためにはNG。歯は一度削ってしまうと二度と元には戻りませんし、削る度に弱くなってしまうからです。
なお、太くて長い根を持つ犬歯は、最も寿命の長い重要な歯で、噛み合わせの中でも非常に大切な役割を持っています。もし削って弱くなった歯を将来抜くようなことになれば、噛み合わせに大きな影響を及ぼしますし、年齢を重ねていく中で、顔の輪郭など見た目にも影響が出る可能性も否定できません。健康な歯を削ることは、百害あって一利なし。絶対にやらないほうがいいのです。
装飾歯を使ってみよう
とはいえ、ファッションのワンポイントとして「八重歯にしたい!」というニーズはありますし、「かわいくなりたい」「個性を出したい」と思うのはとても自然な感情だと思います。
そこで、そんな方におすすめしたいのが、歯を削ってしまうのではなく、取り外しのできる装飾歯を使って八重歯を作る方法です。これなら口内の健康を損なうこともありませんし、飽きたり不要になったりしたときにいつでもやめられます。大きなリスクを負うことなく、髪型を変える感覚で八重歯にすることができます。
歯科医院によっていろいろやり方はありますが、プレジールの場合は、当院オリジナルの貼る創作歯を使った「ティーシーズ」の技法を応用します。装飾歯を八重歯の位置に貼ることで、口元をキュートに見せる施術を行っています。これには「つけっぱなしタイプ」と「取り外しタイプ」の2種類があり、好きなタイプを選んでいただくことが可能です。
つけっぱなしタイプは、噛み合わせを考慮して歯科技工士が1本ずつ作り、歯に装着するのに対し、取り外しタイプは噛み合わせには関係なく形や長さを優先して作り、専用ジェルを使ってご自分で取り付けていただくという違いがあります。お食事時や就寝時は外したい、1日だけやってみたいという方は取り外しタイプ、ずっとつけていたいという方はつけっぱなしタイプがおすすめです。どちらも最初のカウンセリングで「形や色のシミュレーション」をしてからの施術になりますので、イメージに近い仕上がりにすることができます。
また、歯のおしゃれを楽しむアクセサリー「ティス」をつけることができるのも、付け八重歯やティーシーズならではの魅力です。ティスは、スワロフスキー製クリスタルを使ったラインストーンで、ライトが当たったときなどにキラリと輝く、ゴージャスな演出が可能です。ネイルアート感覚で楽しんでみてはいかがでしょうか。
歯は見た目の印象に大きく関わる器官です。が、噛み合わせの良し悪しが姿勢や健康にも影響を与えたり、歯並びと虫歯・歯周病のリスクとは密接な関係にあったりと、口の中のあり方は全身の美容・健康と切っても切り離せない関係にあります。
美しさと健康はどちらもとても大事なものです。美しさのために健康を犠牲にすることがないように、かといって健康のために美しさを我慢することもないように、八重歯にしてみたいとお考えの方は、装飾歯を使った方法を検討してみてください。もちろん、プレジールではいつでも予約を受け付けていますので、お気軽にご利用ください。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。