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Column

すきっ歯は放置しておくと年々ひどくなる? その原因は?

2017.01.30

すきっ歯

歯並び

歯列矯正

皆様、こんにちは。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読くださりありがとうございます。このコラムは、皆様のお口の美容と健康に、少しでも役立てばと思い書いています。

先日、ある読者の方から「すきっ歯の進行」についてご質問をいただきました。診療の中で、ほかの患者様から何度かご質問があったテーマでもありますので、今回はこちらについて、美容歯科医師としてのホンネで率直にお答えしていきたいと思います。

Q:年齢とともに「すきっ歯」は進行するのでしょうか?

子供のころから、上の前歯が八の字型に開いたすきっ歯です。ただ、あまり目立ちませんでしたし、見た目も特に嫌ではなかったので、治療しようとは思いませんでした。ところが、25歳を過ぎたころから、年齢とともにだんだん隙間が大きくなっているようで、不安を感じています。

歯の隙間から息が漏れるのか、発音が不明瞭になっているようで、会話していても聞き返されることが増えました。このまま進んでいくとどうなってしまうのか心配です。加齢が原因ですきっ歯が酷くなることはあり得るのでしょうか? また、治療したほうが良いのでしょうか?

N代

A:加齢により進行することはありえます。

N代様、ご相談ありがとうございます。

だんだん歯の隙間が広がってきたとのこと、さぞ驚かれたことでしょう。これからどうなるのかと不安に思う心は痛いほど伝わってきました。

結論から申し上げますと、加齢により「八の字」に開いた歯の隙間が広がってしまうことはありえます。

すきっ歯が進行する原因、放置していると起こりうること、治療の方法について詳しくお話ししたいと思います。

加齢や歯周病、生活習慣などがすきっ歯を悪化させる原因に

「すきっ歯」にはさまざまなタイプがありますが、「歯と歯のあいだに隙間が空いている状態」の総称です。

すきっ歯が起こる原因は、生まれつき歯が小さかったり少なかったりする先天性のもの、頻繁に頬杖をついたり舌で前歯を押し出す癖があったりする後天的なものなどいくつかあります。一方、すでにあるすきっ歯が進行してしまうのは、歯茎や口内環境の変化が原因です。加齢による変化もそのひとつで、およそ次のようなものがあります。

・加齢による歯茎の下降
加齢によって歯茎が下がれば、その分歯の隙間が大きくなります。ただ、下がるスピードは生活習慣やブラッシングの習慣などに大きく左右されます。

・歯周病の影響
歯周病で歯茎が後退することでも歯の隙間は広がります。また、歯周病の進行により奥歯が抜歯になった結果、噛み合わせのバランスが崩れ、歯にかかる力の大きさや方向が変わって、すきっ歯を進行させる場合があります。

・歯にかかる力が強すぎる
食事の際に噛み締めすぎたり、就寝中に歯ぎしりをする癖があったりして歯に大きな力がかかる状態が続くことも、歯の移動を引き起こします。

すきっ歯の放置から虫歯になることも

すきっ歯を放置しておくと、次のような問題を引き起こすリスクがあります。

・顎関節症
噛み合わせの悪さは顎関節症を引き起こす代表的原因のひとつです。また、すきっ歯を悪化させる要素である、歯ぎしりや頬杖などの癖は、顎関節症の悪化にもつながります。

・歯周病や虫歯
すきっ歯があると歯の隙間に食べカスが詰まりやすくなります。歯磨きが不十分だと細菌が繁殖して虫歯を引き起こしたり、歯周病や口臭の原因になったりします。

・発音がしにくくなる
歯の隙間から息が漏れることで、発音が不明瞭になります。特にサ行やタ行の発音がしづらくなり、英語の「s」と「th」の発音の区別もしづらくなります。

すきっ歯は自然治癒することはありません。現在の状態や口内環境にもよりますが、今後さらに進行する可能性はあります。歯周病や虫歯などの問題につながるまえに治療するのがおすすめです。

タイプによって適切な治療方法は異なります

具体的な治療方法はすきっ歯のタイプによって異なりますが、参考までにどのような治療法があるかを紹介しておきます。

・歯列矯正
歯に矯正装置をつけて、徐々に歯を動かすことで隙間を埋めていき上下の噛み合わせも整える方法です。取り外し可能な透明なマウスピースをつけて行う「マウスピース矯正」と、ワイヤーで固定して行う「ワイヤー矯正」があります。マウスピース矯正では、目立たないことと同時にホワイトニングを行えること、ワイヤー矯正は抜歯せずに治療ができることなどがメリットです。

・クラウン
隙間をセラミックのかぶせ物や差し歯で埋める方法で、すでに詰め物が入っていたり、歯の神経がなくなっていたりする場合に行います。こちらは「大きく歯を削る」治療になります。

・ラミネートベニア/ティーシーズ
「ラミネートベニア」は、歯の表面を0.5~0.7mmほど削り、薄いセラミックを貼り付けて隙間を埋める方法で、隙間があまり大きくない前歯に有効です。しかし、自分の歯を削る必要があることから、プレジールでは削らずに患者様専用の創作歯を貼り付ける治療法「ティーシーズ」を行っています。

なお、今までお話ししてきたことは、永久歯のすきっ歯についてであり、子供の乳歯の場合は心配しなくていい場合がほとんどです。永久歯は乳歯より一回り大きいため、乳歯の段階で歯が隙間なく並んでいるようですと、永久歯が生えてくるのに十分なスペースが取れません。つまり、乳歯のうちは歯間に隙間があるほうが、永久歯がきれいに並びやすいといえるのです。

早めの歯科医院受診をおすすめします

大人のすきっ歯は自然治癒することはありませんし、放置することで虫歯や歯周病にかかったり、発音が悪くなったりするリスクもあります。加齢や生活習慣が原因で進行することは十分考えられますので、歯科医師としては早めに治療することをおすすめします。

繰り返しになりますが、歯の状態によって治療方法は変わってきますので、まずは歯科医院を訪れて「今の歯の状態はどうなっているのか」「治療するとしたら、どんな治療法があるのか」を相談されると良いと思います。もちろん、プレジールでもいつでも相談をお受けしております。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。