皆様、こんにちは。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムを通じて、皆様のお口の美容と健康に役立つ情報を、少しでもお届けできればと思っております。今回は、ある読者の方から前歯の隙間を埋める方法についてのご質問をいただいたので審美歯科医師としてのホンネで率直にお答えしたいと思います。
目次
Q:前歯が極端に小さくヘンな隙間が空いています。矯正治療で治せるでしょうか?
私は前々から歯並び、特に上の前歯に隙間があるのが気になっています。一度歯医者さんに行ったところ、上の前歯の中央から数えて2本目が両方とも標準より小さい「矮小歯」だと言われました。
その時はそういうものかと納得したのですが、なぜ「矮小歯」になってしまったのか、どうすれば治るのかを聞きそびれてしまったことに気がつき、自分でも調べてみたのですがよくわかりません。
見た目も悪いので治したいのですが、矯正治療で歯を大きくすることはできるのでしょうか?
S香
A:治せる場合と、矯正しないほうがいい場合があります。
S香様、ご相談ありがとうございます。
前歯の隙間の原因は「矮小歯」とはわかったものの、解決法にお悩みとのこと。スッキリしない気分は痛いほどわかります。
ご質問は、大きく分けて
「“矮小歯”の原因や症状について」
「前歯の隙間の治療法について」
の2つになるかとお見受けしましたので、この2つについて答えさせていただきます。
「矮小歯」自体は一般的に見られる症状です
まず、「矮小歯」とはどういうものかについてですが、S香様が説明を受けられた通り、「平均的な解剖学的大きさを基準とした際に、それよりも異常に小さい歯」のことを指します。歯冠が萎縮した形態になっており、円錐状や蕾状の形をしている場合が多いので、歯の退化現象と呼ばれることもあります。
原因はよくわかっておらず、食生活の変化などに伴い退化傾向にある歯だとも考えられています。ただし、全体の歯が極端に小さい場合は、遺伝や様々なホルモンのコントロールを司る下垂体の機能低下、ビタミンDの不足などが原因だとするのが定説です。
発生場所はある程度決まっており、S香様と同じ上顎側切歯(前歯の隣、中央の歯から数えて2番目の歯)と第三大臼歯(親知らず)に多く見られます。これらの歯は、もともと歯が生えてこない先天欠如になることも多いので、退化傾向の強い歯だと考えられています。
矮小歯自体は特に珍しいものではありません。また矮小歯なら即何か不具合が出るというものでもないので、噛み合わせや機能に問題がなければ、体の機能的には無理に治療する必要はありません。ただ審美的には、今回のように矮小歯があることにより歯の間に隙間ができてしまうことがあります。その場合の改善方法としては、歯列矯正のほかラミネートベニアやセラミッククラウン などを使う方法があります。
歯列矯正を受けるなら、しっかり事前検討をしてくれるクリニックを選びましょう
歯列矯正とセラミッククラウンなどを使う方法のどちらがよいかは、ケース・バイ・ケースであり、どちらが優れているというものではありません。
歯列矯正は「歯を動かす」ことをメインとする方法なので、もちろん歯並び全体が乱れており、噛み合わせに不具合が出ている場合には最適の治療方法です。ただし、歯列自体には乱れが少ないという場合、無理に歯を動かすと噛み合わせに問題が生じることもありますし、歯そのものの大きさを変えられるわけではないので、必ずしも隙間がきれいに埋まるとは限りません。期待した治療効果が得られるのか、実施する前に慎重な事前検討が求められる治療法です。
矯正治療を受けるなら、事前にしっかりと計画を立て、相談しながら進めてくれる歯科医師を探してください。プレジールはセカンドオピニオンを受け付けていますので、不安を感じたら遠慮せずにいつでもご相談ください。
噛み合わせに問題がない場合は、ラミネートベニアなどの歯の表面に貼る方法がおすすめです
ラミネートベニアを使う方法は噛み合わせや機能、歯並び全体に問題がない場合に有効な方法です。ラミネートベニアとは、歯の表面を薄く削り、ちょうど付け爪を付けるように歯の色をした薄いセラミックプレートを貼り付ける方法。但し、健康な歯を多少なりとも削ってしまうのがネックですが、プレジールでは健康な歯を削らずに、耐久性に優れた薄い素材でできた創作歯を歯に貼る「ティーシーズ」という技法を行っています。
これらはすべて歯そのものを大きく見せる方法なので、歯を動かさないという点で、矯正治療とは大きく異なります。期間や費用も矯正治療に比べれば安くてすむほか、痛みもなく、矯正器具をつける必要もありません。精神的ストレスも小さくてすむ方法です。
前述の通り、噛み合わせに問題がない場合にしか使えないので、すべての矮小歯による隙間の治療に使えるわけではありませんが、歯列矯正を考える前に検討してみる価値は十分あると思います。
歯を動かす「歯列矯正」と歯を大きく見せる「ラミネートベニア」や「セラミッククラウン」などのどちらの治療が適切かは、噛み合わせ全体のバランスによっても変わってきます。
実際にお口の中を拝見させていただき、間違いのないアドバイスができればと思いますので、まだ主治医を決めていらっしゃらないなら、ぜひ一度当院にお越しください。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。