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子どものうちから歯並びを美しく!大人の歯列矯正と子供の歯列矯正はこう違う

2016.12.21

歯並び

歯列矯正

皆様、こんにちは。デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読くださりありがとうございます。

さて、今回は「子どもの歯列矯正」についてお話したいと思います。最近は、審美目的での大人の歯列矯正が増えていますが、本来、歯列矯正は成長期にある子どものうちから始めることが多いものでした。それにはちゃんと理由があって、子どものうちから歯並びをきれいにしておくことには数々のメリットが存在します。

ただ、欧米では子どものうちから上下の正しい噛み合わせ、及び審美目的で矯正している人も多いですが、日本ではまだ一般的ではありません。「子どもの歯列矯正と大人の歯列矯正の違い」や「いつから始めるのが最適なのか」、「子どものうちから歯並びをきれいにすることにどのような意味があるのか」などのご質問を受けることも多いので、審美歯科医師のホンネでご紹介していきたいと思います。

子どものうちなら大きなズレを修正できます

まず、「子どもの歯列矯正は大人とどう違うのか?」ですが、最も大きな違いとして、成長期途中の子どもの場合は身体の成長に合わせて、周囲の骨格を含む広範囲の治療が行えることが挙げられます。顎の骨の位置のズレや形成不全などは、歯並びに大きな影響を及ぼしますが、大人になって骨格が完成してしまった状態では根本的な治療はできません。一方、子どもの場合は成長を利用しながら補正することができます。その結果、成長終了後の歯列矯正で抜歯を回避できる可能性も高まります。大人に比べて痛みが少ないのも子どもの矯正の特徴です。

またその他の部分では、使用する器具や期間にも違いがあります。
器具については、大人が取り外せない矯正装置(固定式)を使うのに対し、子どもは取り外しができる装置(可撤式装置)を使うのが一般的です。これは成長に合わせて器具を換えていくためでもあります。
期間については、個人差があるので一概には言えませんが、大人の場合は1年半~2年半ほどが目安となります。一方子どもの場合は、成長を利用する分治療期間が長くなることが多いという特徴があります。

治療開始時期は、永久歯が生え始める頃がおすすめです

子どもの歯列矯正は、顎の骨のバランスや大きさを整える「1期治療」と歯の位置を整える「2期治療」に分かれて行う2段階治療になっています。「1期治療」は顎の骨が成長途中の子どもだから行えるもので、できれば子どものうちから歯列矯正を行うべき理由もここにあります。骨格のズレや形成不全といった土台から修正できるので、永久歯がきれいに生え揃うための環境を整えてあげることができますし、将来的に歯列矯正を受けるにしても、抜歯を伴わない部分的なもので済む可能性は非常に高くなります。1期治療のみで、2期治療は必要ない場合も少なくありません。

「いつから始めればいいのか」については、1期治療は永久歯が生え揃う前の3歳~12歳頃、2期治療は多くの永久歯が生え揃った後の10歳~成人にかけてが大まかな目安です。3歳と12歳ではずいぶん違いがありますが、反対咬合(受け口)など一部の症状では早期治療が必要なためで、標準的には6歳前後でスタートすることが多くなっています。早期治療が必要な症状かどうかは歯科医師の判断が必要なので、3歳頃には一度歯科医院で診てもらうことをおすすめしています。

乳歯の段階で歯並びが悪くても、「どうせ生え変わるから」と軽く考えてしまいがちです。しかし、乳歯には噛むことのほかに、発音を助ける、顎の骨の形成を促進する、永久歯を正しく誘導するという役割もあります。虫歯のままにしておいたり、悪い歯並びのまま放置しておくと、次に生えてくる永久歯や顎の骨の成長に影響が出てしまうこともあるので注意が必要です。

歯列矯正は、コンプレックス解消にも役立ちます

最後にこのように「子どものうちに歯並びをきれいにしておくことの意味」ですが、もちろんいくつものメリットがあります。
まず健康という面からは、

  • 顎がしっかり成長することで、噛み合わせ良くなる
  • 同じく顎の骨がバランスよく成長することで、顔の輪郭がスマートになる
  • 早期に歯並びを改善することで、悪い噛み合わせが原因となる歯の磨り減りや顎への負担が減る
  • 将来、顎の骨の外科手術や抜歯が必要となる可能性が減る

などが大人の矯正にはないメリットです。
同時に見過ごせないのが、学校でからかわれたりいじめられたりする可能性も減らせたり、歯に対するコンプレックスから笑顔がぎこちなかったり、引っ込み思案になってしまったりということを防ぐのにも役立つという点です。子ども時代は性格形成にとっても大切な時期なので、これらは大人以上に大事なポイントではないかと思います。

「将来への投資」と考えてみてください

今回は、将来的に抜歯を伴う歯列矯正が不要になることなど、子どものうちから歯列矯正を行うメリットについてお話してきました。最後に、少し治療費の話を加えさせていただきます。
歯列矯正の費用は、子どもの場合「1期治療」のみで約30万~60万円、「2期治療」まで行うと70万円~100万円がおおよその相場とされています。個人差はあるにしても、決して安い金額ではありません。そのために、お金がネックになってためらってしまうのも無理のないことだと思います。
けれどこれまでご紹介してきたように、子どものうちからの歯列矯正は、子どもさんの一生を通じ心理面にも大きなメリットをもたらすものでもあります。一歯科医師としては、もし歯列矯正を受けたほうがいい状態なら「投資」だと考えて、思い切って受けさせてみることも大事ではないかなと考えます。

ただし、一つだけ忘れてはいけないのは、子どもの歯列矯正は本人のモチベーションが大切だということです。
ある程度の期間をかけて行う必要があるものなので、子どもさんの負担にならない適切な矯正方法を選び、本人にも「なぜ歯列矯正をしなければいけないのか」をよく分かってもらった上で治療に臨まなければ、なかなか長続きしません。治療に入る前に、信頼できるクリニックでしっかり相談してみてください。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。