こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をお読みくださり、ありがとうございます。
さて、プレジールはおかげさまで症例数も3,000件を超え、多くのお客様に喜びの声をお聞かせいただいています。また、無料メール相談にも多くのご相談が寄せられており、個別にご回答いたしております。
今回は、多くのご質問の中から「歯が大きい・長い」というお悩みを取り上げ、このコラムでご回答させていただきたいと思います。
目次
Q:歯が大きいのですが、削るしかないのでしょうか?
「私の前歯は、子供の頃から目立って大きいのが悩みです。子供の頃は『リスみたいでかわいい』と言ってくれる友達が多かったのですが、中学生のときに男子から『ビーバーみたい』とからかわれたのがいまだにトラウマになっています。小さい歯なら被せ物で大きくできるのでしょうが、大きい歯は削るしかないのでしょうか?」
T美
「歯が長いのが私の悩みです。ほかの歯に比べて、上の前歯2本だけが大きく下に飛び出しています。特に歯並びなどには不満はないのですが、恥ずかしくて口が開けられないので、削って小さくすることはできますか?」
S子
A:まず、「このままではいけないの?」と考えてみませんか?
T美様、S子様、ご相談ありがとうございます。
歯が大きい・長いというお悩みは、決して特別なものではありません。もちろん削って、今の歯よりも小さなクラウンを被せることもできますし、抜歯して、小さめ・短めの差し歯にすることも可能でしょう。
また、実際に歯を拝見してみないとわかりませんが、部分矯正によってお悩みが解消できる可能性もあります。
しかし、それらの治療法についてご説明するまえに、「歯を大事に、身体にやさしく」を第一に考えるプレジールの審美歯科医として言わせていただきたいことがあります。
それは、「本当に治療が必要でしょうか? このままではいけませんか?」ということです。
T美様は、「リスみたいでかわいい」とおっしゃってくださる方もたくさんいらっしゃったとのこと。
程度にもよりますが、大きな前歯には健康的でかわいらしい印象を受けることが多いと思います。事実、それをチャームポイントにしていらっしゃるアイドルやタレント、女優さんもたくさんいらっしゃいますね。
心ない発言をした男子には腹が立ちますが、まぁ「子供の言ったこと」と許してあげることにして、改めて今、お友達や周囲の皆さんのご意見を伺って、本当に治療が必要かどうかをもう一度考えてみていただきたいのです。
審美歯科だけに限った話ではありませんが、歯科医師や医師の多くは、患者様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生における幸福度や満足度を向上させること)を第一優先に考えます。
放っておけば命にかかわるような病気・ケガは別として、審美歯科治療の場合、「患者様が望む治療をそのまま行うことが、本当に患者様の将来の幸せにつながるかどうか?」ということを専門家の立場から真剣に検討するのです。
「この歯さえ小さく(短く)なれば、私の悩みは解決される!」。
確かに今はそのように思い詰めていらっしゃるかもしれません。しかし、治療の結果、「歯は確かに小さく(短く)なったけれど、私が思っていたのとは違っていた」というようなことになった場合、幸せの向上には結びつかない場合があるのです。
もちろん、「周りの人が何と言おうと、治療しなくては心が前向きになれない」など、他人にはわからない心理的なお悩みもあるかもしれません。そういう悩みは、なかなか他人には理解されないものです。そういうことであれば、審美歯科医として、明るく積極的な生活を取り戻すために治療を検討するべきだと思います。
ただ、実際に何らかの治療をするかどうかは、審美歯科や歯列矯正を専門とする歯科医師に相談なさってからお決めになったほうがいいのではないでしょうか。
治療法1:歯列矯正/部分矯正
T美様とS子様の歯の状態を実際に拝見しないと確かなことは言えないのですが、ご自分で歯が「大きい」「長い」と感じていても、実際には、それは物理的な歯の大きさの問題ではなく、「ほかの歯に比べて前歯の生えている位置が前にずれている」「前歯がやや外に向かって開いて生えている」といった不正咬合の問題かもしれません。
このような場合は、歯列矯正や部分矯正(前歯2本だけなど、歯の一部分だけを矯正する方法)によって歯の大きさや長さを目立たなくし、見た目の印象を改善できる可能性があります。
これは、ブラケットという矯正装置を歯に装着したり、特殊なマウスピースを歯にはめたりして、歯の位置や角度を、時間をかけてゆっくり動かすというものです。自分の歯を削ったり抜いたりせずに済むメリットがあります。
ただし、矯正によって歯を小さくする、あるいは歯を引っ込めるということはできません。物理的に歯が大きい場合、矯正による治療では対応できないものと思われます。
治療法2:セラミッククラウン
歯は、中心に歯髄(神経や血管の部分)があり、その外側を象牙質が覆い、表面に近い部分は硬いエナメル質で覆われています。削る量がごく少量であれば、エナメル質の部分だけを削ることで対応できますが、あまり削りすぎると象牙質が露出して痛みを感じます。また、エナメル質が薄くなると歯が弱くなり、虫歯や歯周病の原因となるのでお薦めできません。
前歯の組織図
歯を大きく削らなくてはならない場合、削った歯に冠(クラウン)を被せます。また、状況によっては神経を取る事も検討しなくてはならない可能性もあります。
前歯は非常に目立ちやすい部分ですから、せっかく審美的な目的で治療をするのであれば、できるだけ自然な歯に近い素材のクラウンを用いましょう。
金属を使わないオールセラミッククラウンであれば、審美的にも機能的にもご満足いただける仕上がりになるものと思われます。
また、強度的にはオールセラミッククラウンよりやや劣りますが、「ハイブリッドセラミック」という樹脂素材のクラウンもあります。
できるだけ「抜かない・削らない」方向でご検討を!
T美様、S子様。
ここでは、歯列矯正とセラミッククラウンによる2種類の治療法をご紹介させていただきました。
冒頭で、「もう一度検討なさってみては?」とアドバイスいたしましたが、治療をするかしないかを最終的に決定する際には、ぜひ審美歯科をご訪問になり、歯科医師の診察を受けてからになさってください。ここでご紹介した治療法がT美様やS子様の歯の状況にふさわしくない場合や、もっとふさわしい治療法が提示される可能性も考えられます。
また、医学的な意味で「健康な歯」をむやみに抜いたり削ったりすることは、歯科医の立場からしてあまり積極的に推奨はできかねます(プレジールは「抜かない・削らない審美歯科」を標榜しております)。
削るにしても、削る量は最小限にとどめるべきです。
もしもプレジールにお越しいただくことが可能であれば、ティーシーズを使った独自の治療法など、抜かない・削らないやり方でお悩みを解消できる方法がご提案できるかもしれません。
一日も早くT美様とS子様のお悩みが解消されるよう、心からお祈り申し上げております。
執筆責任者
院長 中村
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。一般開業医での勤務、2020年よりデンタルサロン・プレジール歯科医院長就任。
従来の歯科の考え方にはなかった「健全な歯を削らずに」得られる審美歯科がここにあります。
当クリニックを訪れてくださった方に、笑顔に自信を持っていただくことを一番に考え、対応させていただいております。