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歯にできたヒビは自然治癒しない! 状態に応じた治療法をご紹介します | 東京 銀座の審美歯科 デンタルサロン・プレジール

2018.02.05

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皆様、こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムでは、毎回ひとつのテーマについて皆様のお口の健康と美容に役立つ情報をお届けしています。

今回お伝えしたいのは「歯にヒビが見つかった場合の早期治療の大切さ」です。実は、歯にヒビが入ることはそれほど珍しい現象ではなく、「鏡で歯にヒビを見つけてびっくりした」とか、「歯に痛みを感じて、歯科医院に行ってみたらヒビだった」というのはよくあることです。ですが、たとえ小さなヒビでも自然治癒はしませんし、進行すると歯が割れたり、神経を抜かなければいけなくなったりと歯にとって良いことはひとつもなく、「よくあることだから」と放置していいものではありません。
歯にヒビが入る原因やヒビの種類、ヒビを放っておくと引き起こされる症状についてふれた上で、ヒビに気が付くための方法や治療法についてご紹介します。

歯にヒビが入る原因は?

歯は中心部に歯の神経である「歯髄」、その周辺を柔らかい「象牙質」、表面を人体で最も硬い組織である「エナメル質」が覆う3層構造になっています。この3層構造のお陰で、歯は多少の直接的・間接的な衝撃ぐらいではびくともしません。しかし、長期にわたって蓄積される衝撃や突発的な大きな衝撃にはもろい一面もあり、次のようなことがヒビの原因になります。

歯にヒビが入る原因

・食いしばり・歯ぎしり
通常、歯が噛み合うのは食事の時間だけで、時間にして1日17分程度といわれています。日常的に歯を食いしばる癖があったり、眠っているあいだに歯ぎしりをする癖があったりすると、歯への負担が大きくなり、ヒビの原因となります。

・噛み合わせが悪い
噛み合わせが悪く、咀嚼する際に特定の歯に負担がかかることで、歯にヒビが入ることがあります。

・噛む力が強すぎる
噛む力が強すぎる場合や硬い物ばかりを好んで食べるような場合も、歯にヒビが入りやすくなります。

・事故などで歯を強打する
転んだり交通事故で歯をぶつけたりと、歯に瞬間的に大きな力がかかることもヒビの原因のひとつです。目で確認できるぐらい大きなヒビが入ったり、歯が欠けてしまったりする場合もあります。

【ヒビの種類別】放置すると起きること

歯のヒビは、その大きさや深さによって、症状やその後の経過が変わってきます。それぞれもう少し詳しく紹介しましょう。

・エナメル質のヒビ
エナメル質の層だけに浅いヒビが入った状態です。実は40代後半頃を目安にほとんどの人に現れるもので、自覚症状もなく、放置しても基本的には問題ありません。ただし、ヒビの大きさや場所によっては、冷たい物が染みる「知覚過敏」が起きたり、ホワイトニングの際に染みたりする場合もあります。治療法としては、専用の薬剤やコーティング剤で痛みを緩和するのが一般的ですが、歯の表面を削ってヒビを取り除くことで改善する場合もあります。

・象牙質のヒビ
ヒビが象牙質まで到達すると、中の神経(歯髄)にも刺激が伝わり、痛みを感じるようになります。また、ヒビを伝わって歯の中に細菌が侵入しやすくなるため、虫歯になったり、神経が炎症を起こしたりする危険が高まります。さらに、ヒビが悪化して歯髄に到達するとひどい痛みが出ますので、樹脂(歯科用レジン)でヒビを埋める、虫歯と同様に歯を削って被せ物を作るなどの治療が必要となります。

・歯の根元
歯の根元までヒビが入り、歯が真っ二つに割れてしまっているような場合は歯を残せないため、抜歯するしかありません。放置したヒビから細菌が入ると、周りの歯茎が炎症を起こして腫れたり、出血したりすることがあります。

段階によって異なるヒビの治療法

歯のヒビの治療法については虫歯と同じで、一度ヒビが入ってしまった歯を元の傷がない状態にすることはできません。
ちなみに、特に自覚症状もない、エナメル質部分の小さなヒビなら「経過観察」となるのが一般的です。一方、ヒビが象牙質に達している場合は、小さめのものなら削って樹脂(歯科用レジン)などを詰め、大きいときは被せ物をすることになります。また、歯髄にまで達している場合は、痛みを抑えるために神経を抜く治療(根管治療)が加わります。
ヒビが歯の根に達していて、歯がぐらぐらで外れそうなときや、歯の根元が分断されてしまっていると保存(歯を残すこと)は難しく、抜歯することになります。

ヒビを早めに見つけるには

自覚症状のないエナメル質にできた小さなヒビはいいとしても、象牙質に達するようなヒビを放置することは、百害あって一利なし! できる限り早めに見つけて治療することが大切ですが、困ったことに初期のヒビは骨に影響を与えないため、レントゲンやCT検査ではなかなか見つけることができません。特に治療済みの歯については、金属製のコア(被せ物の土台となる部分)や根管治療の薬剤などの陰になってヒビが確認しづらくなっています。虫歯を治療した歯の根のヒビなどは、一度、被せ物と土台を取り外してマイクロスコープで中を覗き、染色液を使って染め出しをしないとわからない場合もありますし、抜いてみて初めてヒビがあったとわかることも少なくありません。
ちなみに、歯にヒビができるといろいろな症状が発生します。次のような症状が感じられたときは、歯のヒビが原因の可能性がありますので、早めに歯科医院の診察を受けてください。

・噛むと痛い
歯に大きなヒビが入っていたり根のほうで折れたりしていると、噛む度に歯が動いて痛みが出ます。虫歯や歯髄炎でも同じように痛みが出ますが、検査をしても異常がないような場合は、歯のヒビが原因であることが多いです。

・歯や歯茎が痛む、腫れる
歯のヒビが象牙質に到達すると、ヒビを通って細菌が象牙質内部に侵入するため、痛み(の発生源)は歯茎に達し、腫れなどの症状も出てくるでしょう。ここまで症状が進むと出血が見られることもあります。

なお、虫歯治療などで神経を取った歯は、自然の歯に比べてもろく、ヒビも入りやすいという特徴があります。神経のない歯に痛みが起きた場合は、特に注意してください。

「歯の異常=ヒビかも?」と疑うことが大切!

歯にできるヒビは小さなものですが、放置して進行すると大きくなり、歯を失うきっかけにもなってしまいます。虫歯でもないのに歯が痛かったり、腫れが出たりするなど、いつもとは違う症状を感じたときは、できる限り早めに歯科医院で検査を受けるようにしましょう。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。