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予防効果が高い「シーラント」で、大切な子供の奥歯を虫歯から守ろう!

2018.08.10

フッ素

皆様、こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムでは、毎回ひとつのテーマを取り上げて、皆様のお口の健康と美容に役立つ情報をお届けしています。

今回お話ししますのは、子供の虫歯予防方法のひとつ「シーラント」についてです。子供の虫歯予防は、歯ブラシとフッ素塗布が定番ですが、最近ではこのシーラントを扱う歯科医院も増えてきました。しかし、まだまだ一般的ではなく、「聞いたことがない」「聞いたことはあるけれど、どんなものかは知らない」という方も多いと思いますので、今回のテーマに選んでみました。シーラントとはどういうものでどんな効果が期待できるのか、施術はどのようなものなのかなどを、まとめてご紹介します。

シーラントとは?

シーラントとは、奥歯の噛み合わせ面にある溝を歯科用プラスチックやセメントで埋めることで、そこに虫歯ができるのを予防する方法です。乳歯や生え立ての永久歯の奥歯の表面は複雑な形状をしており、歯磨きをしてもなかなか歯垢や汚れを落としきることができません。結果として、歯垢や汚れが溜まり、虫歯が発生しやすい状態になります。
そこで、「あらかじめ溝を埋めて磨きやすくすることで虫歯を予防しよう」というのがシーラントの考え方です。

シーラントは、乳歯や生え立ての永久歯が対象で、乳歯や永久歯が生えてから3~4年までに施術を受けると効果的であるとされています。乳歯の虫歯は「どうせ永久歯に生え変わるから」と軽く考えがちですが、乳歯が虫歯だと下に待機している永久歯にも影響し、永久歯が生えたときから虫歯になっている場合もあります。そのようなリスクもあることから、乳歯の虫歯予防はとても大切なのです。

シーラントの効果

シーラントにはどれくらいの虫歯予防効果があるのでしょうか。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、6~11歳でシーラントをしている子供で第一大臼歯(前歯の中央から数えて6番目の歯)に虫歯を持つ子供は、処置をしていない子供の約3分の1。また、「州が学校で歯科用シーラントを提供するプログラムを始めるか拡大することは、何百万人の子供たちの虫歯予防に役立つ」ともされています。
日本でも、厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」で、「4年以上で約60%の虫歯予防効果が認められた」と紹介されており、シーラントは保険適用の治療法のひとつとして認められています。

シーラント施術の流れ

実際のシーラント施術は、一般的に以下のような流れで行われます。

1. 機械や器具を使って、歯についた汚れ・歯垢をきれいに落とす
2. 唾液が入らないように歯を乾燥させる
3. 歯の溝の部分に歯科用プラスチックやセメントを流し込み、光を照射して固める
4. 固まっていることをチェックする

なお、シーラントは保険適用が認められた治療法ではありますが、保険が適用される条件は、6~12歳の子供で、初期の虫歯があると診断された乳歯か生え立ての永久歯に施す場合のみです。それ以外の健康な歯に施す場合や、13歳以上の子供に施す場合は、自費診療になりますので注意してください。

施術にかかる時間は15~20分ほど、費用は保険適用の場合で1本あたり400円程度、自費診療の場合で1本あたり1,000~2,000円程度が目安です。歯を削るなどの処置ではないので、基本的に痛みを感じることはありません。

毎日のケア方法

シーラントは、歯を磨きやすくするために施すものです。「これさえしておけば、絶対に虫歯にはならない」という魔法の技術ではないので、虫歯予防効果を発揮するには、毎日丁寧にブラッシングをしてあげる必要があります。加えて、シーラントは奥歯の溝が虫歯になることは防げても、同じく磨き残しが出やすい歯と歯のあいだや歯と歯茎のあいだなどの虫歯は防げません。この点からも、毎日しっかりブラッシングを行って、ほかの部分が虫歯にならないように注意することが大切です。

また、シーラントは、通常数年持つといわれますが、さまざまな衝撃でシーラントが割れたり、はがれたりしてしまうこともあります。そのまま放っておくと、かえって歯垢や汚れが溜まりやすくなって、虫歯の原因になってしまいますので、定期的に歯科医院に通い、シーラントがはがれていないか、口内の問題と併せてチェックするようにしましょう。

シーラントに使われる素材

シーラントに使われている素材は、大きく分けると「レジン」と「グラスアイオノマー」の2種類です。

レジンは、虫歯の治療にもよく使われる歯科用のプラスチックのことで、「コンポジットレジン」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。歯を削ったあとにレジンを充填することで穴や隙間を埋め、機能回復や再発を予防します。また、歯が欠けたところにレジンを盛って、やはり機能を回復したり、審美的な問題をクリアしたりするなど、さまざまな場面で使われています。シーラントに使われる際は、レジンが溝を埋めることで、口腔内の環境から歯を遮断する役割を果たします。

グラスアイオノマーも、やはり歯の溝を埋める物ですが、接着性が高く、歯髄への刺激が少ない上、天然の歯に近い半透明の色という特長を持っています。さらに、成分に含むフッ素を少しずつ放出する効果も有しています。歯質の強化や虫歯の予防につながることから、シーラントに採用されることが増えてきました。また、レジンは施術前に歯に多くの処理が必要ですが、グラスアイオノマーはそれらを経ることなく使用できる点も魅力となっています。

レジンとグラスアイオノマーは、どちらにも良いところがあることから、最近は双方の特長を持つ素材も登場しています。

まずは歯科医師に相談を

シーラントは、必ず施さなければいけないものではありませんが、虫歯予防に効果的な方法のひとつであることは確かです。
期待できる虫歯予防効果は、歯の溝の複雑さやお子様の年齢によっても変わりますので、まずは歯科医師に相談してみてください。

  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。