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乳歯ケースに保管して、抜けた乳歯を思い出にしよう

2018.04.28

その他

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。
「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ココだけの話」をご覧いただき、ありがとうございます。このブログでは、私のこれまでの経験や患者様のお話をもとに、気になった歯の話題や、歯や口元を美しく保つためのヒントをお届けしています。

今回は、「乳歯」の保管のお話です。
幼いころ、抜けた乳歯を下の歯は屋根の上に、上の歯は縁の下に投げて永久歯の成長を願ったという人は多いでしょう。しかし、マンション住まいの人が増えた現在では、乳歯を投げるための屋根や軒下が存在せず、そもそも投げることができないというケースも珍しくありません。
そうした住環境の変化を受けて登場したのが、抜けた乳歯を入れて保存する「乳歯ケース」です。

乳歯ケースとは?

乳歯ケースは、抜けた乳歯を取っておくためのケースで、雑貨屋さんやネットショップなど、さまざまな場所で販売されています。歯が抜けた日付を記入できる木箱タイプの物から、歯の形をした物、アルバムタイプの物までバリエーションは豊富に用意されています。また、防湿・抗菌作用に優れた桐でできた物や丈夫な錫製など、素材もさまざまです。見た目もきれいな物がほとんどで、ただ乳歯を保管するだけでなく、インテリアとして部屋に飾ることもできます。
気に入った物があれば早くから購入しておいても構いませんが、実際に出番が来るのは乳歯から永久歯への生え変わりが進む6歳から12歳くらいにかけてです。乳歯がぐらつき始めたのをきっかけにケースを探し始めても、十分間に合うでしょう。

乳歯を保管する手順

乳歯ケースにしまう手順ですが、抜けた乳歯をそのままケースに入れてはいけません。
自宅で抜けた歯には血液やたんぱく質が付着している上、保存する際に唾液がついたり手で触ったりするため、清潔な状態とはいえないからです。汚れがついたままケースに入れてしまうと、割れや変色といった劣化につながります。乳歯が抜けたらすぐ、市販されている消毒薬の「オキシドール」に浸しましょう。オキシドールには、たんぱく質を落とし、歯を殺菌する効果があります。1晩浸したら水洗いして、歯ブラシや爪楊枝を使って、残った血液や歯の根元付近の汚れを落とします。オキシドールがないときは、漂白剤を薄めた物に浸しても構いません。
汚れを落とした後はよく乾燥させて、ケースにしまいましょう。

「歯髄細胞バンク」に預けて再生医療に役立てる道もある

乳歯が抜けた場合の対処法には、昔ながらの「投げる」「乳歯ケースに保管する」という方法のほか、「歯髄細胞バンクに預ける」という方法もあります。
歯髄には、組織を作り出す幹細胞が含まれ、将来的には骨、脂肪、神経などの再生医療に活用できると考えられています。初年度費用、年間保管費用が必要ですが、「ただ保管するだけでなく、子供の将来に役立てたい」という方は検討する価値があるでしょう。
注意したいのは、歯科医院で抜歯した歯以外は、歯髄細胞バンクに登録できない場合があることです。事前に専用の容器を取り寄せておき、自宅などで抜けると同時に容器に入れて送付すれば受け入れ可とするバンクもありますが、クリニックでの抜歯に比べると細菌に感染する確率が高く、再生医療に活用できない可能性があることを知っておく必要があります。

乳歯ケースを活用して、乳歯を思い出のひとつに

乳歯ケースは、昔のように歯を投げられなくなって困っているという人にも、「かわいらしい乳歯をただ投げるのはもったいない」「記念に残しておいて、大きくなったら見せてあげたい」という人にも最適なアイテムです。
お金をかけてケースを買わなくても、手頃な箱を自分好みにアレンジしたり、袋を縫ったりして、世界にただひとつのオリジナル乳歯ケースを作ってもいいでしょう。乳歯が抜けたときの子供の様子や親の思いなどを書き留めて、いっしょに保存しておくのもおすすめです。


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