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「ダイレクトボンディング法」の特徴とメリット・デメリット総まとめ

2017.08.08

ダイレクトボンディング

審美歯科について

皆様、こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読くださり、ありがとうございます。このコラムでは、毎回ひとつのテーマについて、皆様のお口の健康や口元の美しさに役立つ情報をご紹介しています。

今回お話ししたいのは、歯科の治療法のひとつである「ダイレクトボンディング法」についてです。これは、審美歯科のみならず、一般的な虫歯の治療や歯の隙間や欠けなどを埋める治療法なのですが、その特徴やメリット・デメリットとなると、十分に知られていないように思いますので、このテーマを選ばせていただきました。審美歯科医師として、ホンネで率直にお話ししていきます!

仕上がりの美しさを重視した治療法

ダイレクトボンディング法とは、歯科用のレジン(合成樹脂。コンポジットレジンともいう)を歯科用の接着剤を使って直接歯の表面に積み重ねていく治療法で、歯の色や形状を回復したり、歯と歯のあいだの隙間を埋めたりするのに適した方法です。同じレジンを使う治療法には、歯の欠けや小さな虫歯などの治療に使われる「コンポジットレジン充填」という方法があります。この2つは混同されやすいので、まずはこの違いからご説明します。

まず、実際の施術の方法による違いですが、充填法が「患部にレジンを充填することで、穴や隙間を塞ぐ」イメージなのに対し、ダイレクトボンディング法は「歯の表面にレジンを積み重ねていく」イメージです。また、充填法は保険診療の虫歯治療における代表的な治療法で、「機能の回復を第一」に考えている一方、ダイレクトボンディング法は仕上がりの美しさも重視した施術だという違いもあります。充填法は保険が適用できることから、使用可能なレジンの種類が限られますが、保険適用外のダイレクトボンディング法は審美的に高品質なレジンが使われますので、自然な仕上がりが期待できるのです。

ダイレクトボンディング法にできること・できないこと

ダイレクトボンディング法は、虫歯の治療から審美的な治療まで、広い範囲で役立つ治療法です。例えば次のような場合は、ダイレクトボンディング法での治療が適しているといえるでしょう。

  • 歯と歯のあいだの隙間を埋める
  • 歯先のギザギザを滑らかにする
  • 虫歯治療などで削ってしまった歯や一部が欠けてしまった歯を、自然に近い色や形に修復する
  • 虫歯などで一部が黒く変色してしまった歯を、元の色合いに修復する
  • 銀歯など、金属の詰め物を詰め替えて白くする

しかし、ダイレクトボンディング法も万能ではないので、場合によってはこの治療法が使えないケースもあります。例えば、次のような場合には、別の治療法や事前の治療が必要です。

・歯の欠損部分が大きい

素材であるレジンは、セラミックや金属などよりも耐久性・強度の面でやや劣ります。歯が大きく欠けている場合や虫歯を大きく削った場合は、セラミッククラウンなどの被せ物による治療が適当です

・重度の歯周病がある

重度の歯周病が原因で歯茎から出血があったり、歯のあいだに隙間があったりするような場合は、まず歯周病の治療を進めてからダイレクトボンディング法が可能かどうか判断することになります。

ダイレクトボンディング法のメリット・デメリット

どのような治療法にも一長一短があるように、ダイレクトボンディング法にもメリットとデメリットがあります。

<ダイレクトボンディング法のメリット>

・歯をほとんど削ることなく短期間で治療が可能

歯に直接レジンを積み重ねていくので、セラミックの被せ物をするときのように、健康な歯を削る必要がありません。一般の虫歯治療で使う場合も、歯を削る量を必要最小限に抑えることができます。また、型を取る必要もないので、治療期間は通常1~2日と、短期間で終わることがほとんどです。

・破損しても修理が簡単

積み重ねていく方式ですから、経年劣化などによって破損した場合でも、簡単に修復できます。

・色や形の再現度が高く、自然な仕上がりが期待できる

さまざまな色調のレジンを積み重ねていくことで細かい色の違いを再現することができ、自然の歯に近い高い審美性を保つことができます。

・セラミッククラウンなどに比べて価格が安い

保険外診療なので保険適用の治療に比べると高くなりますが、セラミッククラウンよりも、約半分以下ほどの価格で治療が可能です。

<ダイレクトボンディング法のデメリット>

・歯科医師の技術力により完成度に差が出る

歯科医師の技術力が仕上がり具合に直結するのはダイレクトボンディング法だけではありませんが、歯の形づくりや色選びが重要なだけに、仕上がりは歯科医師の技術や経験、センスに大きく左右されます。

・耐久性ではセラミックに劣る

使用されるレジンは、保険適用の充填法で使う物より硬い素材ですが、クラウンなどに使われるセラミックや金属に比べると強度は低めです。また、年月の経過でレジンと歯との境に着色が生じる場合もあります。

・保険診療に比べれば価格が高い

審美性の回復を目的とするダイレクトボンディング法は保険外診療になり、一歯あたり1~5万円の費用がかかります。

施術を受ける際は治療実績のある歯科医師の下で

ダイレクトボンディング法は、歯の機能を回復するだけでなく審美的にも美しい仕上がりを目的とするものですから、まさに審美歯科の目指すところに合致した治療法といえるでしょう。審美歯科医院では、「前歯などの歯と歯の隙間を埋める」「歯の斑点や変色をきれいにする」「欠けてしまった歯を元通りの形に修復する」「劣化したレジンや銀歯などの詰め物を自然な白さでやり直す」といった場面で使われることが多く、私自身、小さな隙間を埋めたり歯の欠けを修復したりするには、とても良い治療法だと思っています。

ただし、デメリットを挙げた際にも紹介しましたように、歯科医師の技術が仕上がりを大きく左右する治療法であることも確かです。近年、ただ歯を治すだけでなく「きれいに治したい」というニーズの高まりを受けて、ダイレクトボンディング法を取り入れる歯科医院も増えているように思いますが、施術を受ける際には歯科医師の技術や治療実績をしっかりチェックした上でクリニックを選ぶことが重要です。

ダイレクトボンディング法は、健康な歯を削ることなく、自然の歯と同じような高い審美性を期待できる優れた治療法のひとつです。今回はその特徴やメリット・デメリットについてまとめて紹介いたしましたが、もしほかの治療法との違いや治療法でお悩みがありましたら、いつでもプレジールにご相談ください。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。