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心と体の両面を対象にした歯科治療「心療歯科」とは?

2017.08.04

その他

虫歯

皆様、こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、中村です。いつも「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ここだけの話」をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムが皆様のお口の美容と健康に、少しでも役立てばと思っています。

さて、今回のコラムでは「心療歯科」を取り上げたいと思います。「聞きなれない科目名だな」と思われた方が多いかと思いますが、それも当然で、実は心療歯科は正式な診療科目ではなく、いわば「心と体の両面から行う歯科治療」の総称です。
歯科の診療項目は通常、「口腔外科」や「矯正」「審美」など、治療内容によって分けられますが、心療歯科はこれらの垣根を越えて「歯科的な症状に加え、心の問題が疑われる場合の診断、治療」を目的とした診療科なのです。
歯の問題と心の問題には、密接な関係があります。「小さいころの虫歯治療がきっかけで、怖くて歯科医院に行けなくなった」「歯並びが悪いのが気になって、歯を見せて笑うのを躊躇してしまう」など、過去に体験した恐怖や思いが治療を受ける妨げになっていたり、歯科的な問題のためにトラウマや心の葛藤を抱えていたりする方も少なくありません。しかし、歯科において、「心の問題を含めた治療」は、これまであまり考えられてきませんでした。心療歯科は、長年放置されてきた心の問題に光をあてた治療方法であり、審美歯科治療においても非常に重要な意味を持つものなので、ここで取り上げさせていただきました。審美歯科医師として、ホンネで率直にお話しいたします。

「心療歯科」の診療対象は3タイプ

心療歯科の扱う領域は幅広く、どんな症状を対象とするかについて統一された見解はまだありません。一部の大学病院などを除くと、心療歯科を専門としている医療機関は少なく、通常の歯科診療を行う中で実践しているクリニックや病院があるという程度です。もちろん、クリニックや病院により診療内容はさまざまですが、診療対象は大きく3つのタイプの人に分かれます。

歯科治療が怖くて歯科医院に行けない人

「歯科治療が怖くて歯科医院に行けない人」とは、子供のころに歯科治療で体験した痛さや怖さがトラウマになり、どうしても歯科医院に行けない人のことです。

ただ「行きたくない」というだけではなく、人によっては歯科医院のことを思い浮かべただけで逃げ出したい衝動に駆られたり、極度の不安やストレスを感じてしまうほか、不眠、血圧の上昇、ふるえ・過呼吸が起きたりするなど、心身に自分では制御しがたい症状が現れてしまいます。この症状がある人は、ひどい痛みを感じても通院せず、我慢してしまうために治療が遅れ、重症化してしまうことが少なくありません。

歯科恐怖症は心の問題ですが、患者さん自身のがんばりや勇気だけで解決できるものではありません。
この場合、初回は丁寧なカウンセリングを行ってしっかり患者さんの話を聞き、歯科恐怖症になった経緯や状況を把握した上で、徐々に歯科医院に慣れていけるような治療を行っていくのが「心療歯科」の治療法です。そのような治療を行っている歯科医院を探す際には、「歯科恐怖症外来」や「リラックス歯科治療外来」などの言葉がヒントになるでしょう。検索して気になった歯科医院に、メールや電話で問い合わせてください。

虫歯でもないのに歯に痛みを感じる人、原因不明の歯痛がある人

「常に歯が浮いた感じやかゆみがある」「治療をしたのに歯の痛みが取れない」「虫歯でもないのにずっと歯に痛みがある」など、原因がわからないのに歯の痛みや違和感がある場合です。実は歯で発生する痛みや違和感は、必ずしも虫歯や歯周病だけが原因とは限りません。ストレスや感情の変化など、脳が原因となっている場合もあり、それらは「非定型歯痛」または「突発性歯痛」と呼ばれています。非定型歯痛は原因を特定することが難しいため、歯科医院によっては治療できないと言われてしまったり、原因が十分わからないまま歯を削った結果、悪化してしまったりすることも珍しくありません。このような、原因不明の痛みの原因究明や治療も心療歯科治療のひとつです。

治療を行っている歯科医院を探すには、「非定型歯痛」や「突発性歯痛」「心療歯科」などをキーワードに探してみるのがおすすめです。実際の治療法は、まずレントゲンやCTなどの検査を行い、通常の歯科治療で症状が改善する見込みがあるかどうかを調べ、症状を引き起こす原因となる可能性があるものを、ひとつずつ排除していくという方法で行われます。体に異常が見つからず、精神的な変調やストレスが原因とわかれば、症状に応じて薬や心理療法などで治療していくことになります。

歯や口内の悩みが原因で心の問題を抱えている人

「下顎が上顎より前に出ている(下顎前突)や、受け口(反対咬合)で顔にコンプレックスを持っている」「口臭が気になって人前で話すことができない」など、歯や口元が原因で心に影響が出たり、ストレスを感じたりしているような場合です。
その原因は、歯列の乱れなど機能の面から治療が必要なものばかりではなく、例えば歯の色や見た目の問題など、審美的な面が問題となっていることが少なくありません。そういう意味では、審美歯科治療は、歯に関する心の問題と非常に関係が深い治療だということができるでしょう。

この場合の治療法としては、まず患者さんのお話を丁寧に聞いた上で、患者さんのコンプレックスやストレスの元となっている症状について、機能面・審美面ともに配慮した治療を行っていきます。もちろん、プレジールでも同様です。

心療歯科は歯の問題だけでなく、心まで解決する治療法

心療歯科というと特別なもののように思えますが、実際は患者さんの体と同時に、心の問題も考えて行くものであり、審美歯科治療とはとても密接な関係があります。歯科治療に強い恐怖を感じている方や原因不明の歯痛にお悩みの方は、ぜひ一度、心療歯科を行っているクリニックや病院を探してみてください。もちろん、審美歯科のご相談につきましては、いつでもご来院をお待ちしております。


  • コラムに掲載されている施術などは、必ずしも当院でご提供してるサービスに限りませんので、ご了承ください。