喫煙は百害あって一利なし!タバコが歯に及ぼす悪影響のお話

  • 喫煙は百害あって一利なし!タバコが歯に及ぼす悪影響のお話

こんにちは! デンタルサロン・プレジールの歯科医師、川邉(かわべ)です。
患者様の歯・口元の健康に加え、クオリティー・オブ・ライフにも貢献したいと考えて日々の診療にあたっております。
そうした審美歯科医師の立場から、患者様にお伝えしたい率直な気持ちやアドバイスをコラムにした「歯医者さんがホンネで薦める審美歯科ココだけの話」。いつもご愛読ありがとうございます。

さて、今回のテーマはタバコです。
タバコを吸う人はそうでない人に比べて、5歳以上、肌のメラニン状態の悪化が進んでいるそうです(株式会社ポーラ「タバコを喫う人は要注意?喫煙とメラニンの関係」より)。これが「スモーカーズ・フェイス(老け顔)」になる原因です。ほかにも、タバコは健康への悪影響がいろいろと指摘されていますが、もちろん歯・口内にも悪影響が考えられます。
今回は、タバコが歯・口に与える、健康上・審美上のさまざまな問題についてお話ししたいと思います。

喫煙による歯の着色汚れ

改めて指摘するまでもなく、皆様ご存じのこととは思いますが、喫煙は歯の黄ばみ・黒ずみの原因になります。
これはおもに、タバコの煙に含まれるニコチンやタール(植物樹脂)と深く関係しています。いわゆる「ヤニ汚れ」というものですね。

歯の黄ばみ・黒ずみとなる着色汚れのことを「ステイン」といいます。
ステインとは特定の物質を指すのではなく、紅茶やワイン、コーヒーなどに含まれるポリフェノール類(おもにタンニン)、そしてタバコのニコチン、タールなどが、歯の表面を覆う「ペリクル」というたんぱく質と結びつくことによって発生する「歯の着色汚れの原因物質」の総称です。

ペリクルは唾液から作られ、歯を酸から守る働きをする膜なのですが、ペリクルがステインになると、歯の表面のエナメル質に定着してしまうという性質を持っています。そして、一度エナメル質に定着してしまったステインは、いくら歯ブラシでゴシゴシ磨いても落とすことが難しくなってきます。(ただし、毎日の正しい歯磨きの習慣により、着色汚れをある程度予防する効果が期待できます)。

喫煙だけが歯の黄ばみ・黒ずみの原因となるわけではありませんが、喫煙が歯の着色汚れの大きな原因のひとつであることは間違いないでしょう。

また、喫煙は歯への着色だけでなく、歯肉のメラニン色素沈着による黒ずみの原因にもなります。

喫煙と歯周病の関係

タバコの煙には発がん性物質が含まれ、ビタミンCを破壊し、血管を収縮させる…といったことは一般によく知られていると思います。もちろん、こうした作用が体に及ぼす悪影響にはさまざまなものが考えられますが、私は歯科医師ですので、健康への悪影響については「歯周病」に話を絞りたいと思います。

歯周病とは、歯周ポケット内に繁殖した細菌によって、歯肉が炎症を起こしたり、歯槽骨(歯を支える骨)が溶けたりする病気の総称です。

厚生労働省が情報提供している「e-ヘルスネット」によれば、喫煙は歯周病の二大危険因子のひとつで、喫煙と歯周病は密接に関連しているとされています。

これは、喫煙によって体内に吸収される一酸化炭素やニコチンが体の抵抗力を低下させ、歯周炎が進行し、歯周病の治療に悪影響を及ぼすためです。

また、歯周病によって口中にバイオフィルム(歯周病菌の固まり)ができ、口臭の原因となることも少なくありません。

クリーニングによる黄ばみ・黒ずみ落とし

このように、喫煙は歯の審美性から考えても健康面から考えても百害あって一利なしです。
できれば禁煙をおすすめしたいのですが、すでに喫煙習慣によって歯の着色汚れが進行してしまった患者様の場合はどうしたらいいでしょうか。

すでに説明したとおり、タバコの煙による着色汚れをブラッシングで白くすることは難しいでしょう。
やはりここは歯科医院での施術を受けていただきたいところです。

方法のひとつとしては、歯科医師や歯科衛生士が行う歯のクリーニング「PMTC=Professional Mechanical Tooth Cleaning」を受けてみることです。

PMTCは、ブラッシングでは取れない歯周ポケット内の歯垢を特殊な機器を使って取り除くほか、超音波振動などによる歯石の除去、歯の表面の研磨、そして虫歯や歯周病の予防につながる歯のコーティングなどを行います。

クリーニングは、ホワイトニングとは違い、「歯を徹底的にキレイにする」ための施術です。歯に定着してしまったヤニ汚れを完全に落とすことはできませんが、歯の状態や沈着の度合いによっては、クリーニングだけでかなり白さを取り戻せる場合があります。
ただし、喫煙習慣そのものをやめない限り、いったん白くなった歯もまた汚れてしまいますからご注意を。

徹底的に白くしたいのならホワイトニング

タバコのヤニ汚れが歯の奥深くまで浸透してしまった場合、白い歯を取り戻すためには、ホワイトニングが必要になるかもしれません。

さて、歯のホワイトニングとはどのような原理によって行われるのかご存じでしょうか?
ホワイトニングの詳細は別のコラムで説明しますが、要は「歯の奥に染み込んだ色素を分解する」という考え方に基づいています。

ホワイトニングで使われる薬液は、特殊な光と反応することで、歯の奥に染み込んだ色素を分解する働きを持っています。タバコのヤニ汚れなどの着色は、かなり頑固なものでも白くすることができます。

クラウンや人工歯を使って理想の白さを手に入れる方法も

タバコの煙に含まれるニコチンやタールは、歯の黄ばみ・黒ずみ、そして歯肉の黒ずみなどの原因となり、健康上はもちろん、審美的にも深刻な問題を引き起こしかねない歯周病の原因となること、そして口臭の原因にもなることをご説明してきました。

植物樹脂であるタールは、まるで松ヤニのように歯にしつこくこびりつき、その汚れを落とすことは容易ではありません。しかし、クリーニング(PMTC)によってかなりのレベルまで着色汚れを落とすことができ、ホワイトニングによって色素を分解できることもご理解いただけたことと思います。

せっかくクリーニングやホワイトニングを行っても、喫煙そのものを続けていては長期的な継続効果は期待できませんが、「今は禁煙しているけれど以前の喫煙習慣で汚れた歯をキレイにしたい!」という方なら、ぜひこうした施術をご検討なさってみてはと思います。

なお、ホワイトニングでもご満足いただけるほど白くならない場合は、歯を削ってセラミックのクラウンを被せるオールセラミッククラウンや、歯の表面に薄い人工歯を貼るティーシーズやラミネートベニアといった施術もあります。
プレジールでは「健康な歯を極力削りたくない」との思いから、こういうケースでセラミッククラウンを強くおすすめすることはあまりありませんが、長年の喫煙などにより、「どうしても自分の歯を思ったように白くできない」とお悩みの方は、こういう施術法があることも頭の片隅に置いておかれてはいかがでしょうか。